2023年以降の夏時間が廃止に、ただし一部米国境都市では夏時間が継続

(メキシコ、米国)

メキシコ発

2022年11月02日

メキシコ政府は10月28日、「メキシコ合衆国における時間帯に関する法律(以下、時間帯法)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の施行令を公布し10月30日に施行された。同法案は9月29日に下院が、10月26日に上院が賛成多数で可決していた。メキシコでは4月の第1日曜日から10月の最終土曜日まで、本来の時間帯よりも1時間早い夏時間が設定されていた。今回の時間帯法は2022年10月末に施行されたことから、実質、2023年以降の夏時間が廃止される。各地域では2023年から上記夏時間の間も本来の時間設定が維持される。

一方、アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)大統領は7月5日の記者会見で夏時間を廃止する法案に署名して国会に提出したが、米国との国境都市では労働時間や文化的背景に鑑み、夏時間を維持するかどうかが懸念事項となっていた(2022年7月7日記事参照)。今回の政令では第5条に基づき、以下の地域に限り、夏時間が適用されることになった。

  • バハカリフォルニア州:夏時間では日本との時差がマイナス16時間
  • コアウイラ州の11市町村(アクーニャ、アジェンデ、ゲレロ、イダルゴ、ヒメネス、モレーロス、ナバ、オカンポ、ピエドラスネグラス、ビジャユニオン、サラゴサ)、ヌエボレオン州のアナウアクおよびタマウリパス州の10市町村(ヌエボラレド、ゲレロ、ミエル、ミゲルアレマン、カマルゴ、クスターボディアスオルダス、レイノサ、リオブラボ、バジェエルモソ、マタモロス):夏時間では日本との時差がマイナス14時間

ただし、太平洋時間帯のソノラ州については、ノガレスなど北部国境都市が存在するものの、夏時間をこれまで同様に設定せず、日本との時差は通年で16時間のままとなる。チワワ州についても北部国境都市のフアレス市などが存在するが、ここも夏時間を設けず1年を通じて中央部と同じ時間帯(マイナス15時間)となるため、注意が必要だ。

なお、本来の時間における日本との時差では、北西部(バハカリフォルニア州)ではマイナス17時間、太平洋(南バハカリフォルニア州、シナロア州、ソノラ州、バイア・デ・バンデラス市を除くナヤリ州)ではマイナス16時間、南東部(キンタナロー州)ではマイナス14時間、中央部(それ以外の25州)ではマイナス15時間となっている。

同法6条は、州議会が国会に対して、州あるいは州内の特定市町村に適用する時間帯を変更、あるいは夏時間を設定する法案を国会に提出することができるとし、国会は法案受領後、憲法第72条に基づく立法プロセスを開始する前に内務省の意見を求めなければならないとしている。同法が定める時間帯と異なる他州や外国と境界線を接している州が当該地域の時間帯変更を望む場合、国会は州議会による法案提出後90日以内に立法プロセスを終え、時間帯の修正を完成させると規定している。また、同法第7条は、連邦政府、あるいは国会(連邦議会)の発議で時間帯修正の法案を国会に提出する場合は、事前に対象となる州の議会の過半数の承認を得る必要があると定めている。

(阿部眞弘)

(メキシコ、米国)

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