オーストリア経済研の予測、2023年は停滞、2024年は回復も下方リスクを指摘

(オーストリア)

ウィーン発

2022年12月22日

オーストリア経済研究所(WIFO)は12月15日、2022年冬季経済予測を発表した。オーストリア経済は2022年に顕著に伸びるが、2023年には世界経済とともに冷え込み、本格的な回復は2024年になるとした(添付資料表参照)。

WIFOは2022年の実質GDP成長率を4.7%とし、10月に発表した秋季経済予測から0.1ポイント下方修正した(2022年10月19日記事参照)。2022年上半期は経済が目覚ましく成長した。新型コロナウイルス禍によって阻害されたサービス業が回復したほか、工業生産、輸出とも大幅に拡大した。下半期はエネルギー価格の高騰や経済動向に対する不確実性から、GDP成長率が2022年第4四半期(10~12月)は前期比マイナス0.8%、2023年第1四半期(1~3月)はマイナス0.2%と、冬期はマイナス成長になる見通しだ。

2023年春から外需が増大し始めるとみられるほか、エネルギー市場の緊張が徐々に緩和され、景況感が改善することで、個人消費と設備投資も回復に向かうと予測。ただし、ロシアによるウクライナ侵攻の継続によって緊張が再度高まり、回復を妨げる可能性もあるとした。2023年通年のGDP成長率は0.3%の微成長となり、スタグフレーション(景気停滞と同時に高インフレ)になるとの予測を示した。2024年には1.8%と、新型コロナ禍前の水準に回復する見通しだ。

物価上昇はピーク越え

2022年春からのエネルギー価格の急騰によって、消費者物価指数(CPI)上昇率は長年経験してこなかったレベルまで上昇した。オーストリア統計局によると、CPI上昇率は9月に前年同月比で10.5%、10月は11.0%、11月は10.6%と2桁台が続き、2022年通年では8.5%になる見通しだ。WIFOは、物価上昇は既にピークを越えたと認識しており、2023年にエネルギー価格の影響は徐々に弱まるが、CPI上昇率は6.5%と依然として高く、2024年にようやく3.2%に下落するとした。

労働市場は引き続き好況だ。2022年下半期に雇用拡大の勢いは減速したが、通年でみると、就労者数が大幅に増加した。特に宿泊やレストラン業での雇用が拡大し、新型コロナ禍前の水準を上回った。失業率は2021年の6.2%から、2022年は4.6%と大きく改善し、新型コロナ禍前よりも低下すると予測。2023年には経済停滞とウクライナからの避難民の労働市場参入のために4.7%と若干上昇するが、2024年には4.5%と再び改善する見通しだ。

(エッカート・デアシュミット)

(オーストリア)

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