12月前半のコアインフレ率、2022年内で初めて2期連続の低下に

(メキシコ)

メキシコ発

2022年12月27日

メキシコの国立統計地理情報院(INEGI)は12月22日、12月前半の消費者物価上昇(インフレ)率が前年同期比7.77%まで下降したと発表した。11月前半のインフレ率は前年同期比8.14%だった(2022年11月30日記事参照)。2022年8月後半から続いていた8%台から、年末になってようやく7%台に低下した(添付資料図参照)。また、2021年8月後半から上昇し続けていたコアインフレ率(注)は、11月後半で前年同期比8.37%と下降に転じ、12月前半では8.35%と、2022年で初めて2期連続の低下となった。

12月前半のコアインフレ率(年率)の内訳をみると、依然として「食品・飲料・たばこ」が前年同期比14.13%で、最大の押し上げ要因となっている。次いで寄与度が大きいのは「食品を除く財」で同7.68%だった。「食品・飲料・たばこ」と「食品を除く財」から構成する「財」は前年同期比11.08%と、11月前半と比べ0.42ポイント下がったものの、インフレ率全体を4.41ポイント押し上げた。「サービス」では、レストランや軽食堂、通信、パッケージツアー、医療診察費などを含む「その他サービス」が前年同期比7.14%上昇した。「その他サービス」に「住居関連サービス」(3.14%)と「学校など授業料」(4.49%)を合わせた「サービス」全体としては、前年同期比5.22%だった。

非コアインフレ率は前年同期比6.08%と減少傾向が続いている。特に「農畜産物」が前年同期比8.85%、その内訳として「野菜・果実」が5.03%、「畜産物」が12.20%とともに伸び幅が大幅に減少している。

12月前半に前期比で物価が上昇した品目を寄与度順にみると、「航空輸送」(19.61%)、「パッケージ観光サービス」(12.71%)、「チレ・セラーノ」(18.41%)、「軽食堂・タコス屋など」(0.44%)となっている。航空輸送やパッケージ観光サービスの上昇は、クリスマスシーズンや年末年始にかけてのプレゼントの購入需要や旅行需要を反映している。

大蔵公債省、インフレ抑制策の延長を示唆

インフレを抑制するために、大蔵公債省が大企業と締結した第2次インフレ上昇抑制策(2022年10月7日記事参照)を2023年2月に延長する予定だとブルームバーグが伝えた。同インフレ抑制策の期間は当初2月末までとされていた。政府と合意を締結した企業に対して輸入障壁を撤廃し、商品コストを抑えることを目的としている(2022年10月24日記事参照)。企業側も抑制策の延長に関心があり、メキシコ政府は期限延長と政策内容に関して改廃を行う可能性があるとした(「レフォルマ」紙12月22日)。

(注)天候などによって価格変動が大きい農産品やエネルギー価格、政府の方針で決定される公共料金を除いた価格の指数。

(阿部眞弘)

(メキシコ)

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