英中銀が9会合連続の利上げ、年3.5%に

(英国)

ロンドン発

2022年12月16日

英国イングランド銀行(BOE、中央銀行)は12月15日、政策金利を0.5ポイント引き上げて、年3.5%とすると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。前日まで開かれていた金融政策委員会(MPC)で決定した。2021年12月以降9会合連続の利上げとなった。MPCでは9人中6人の委員が、労働市場が引き続き厳しい状況にあり、国内の物価と賃金にインフレ圧力が持続すると予測し、0.5ポイントの引き上げを支持した。労働需要は緩和し始めたものの、労働市場は依然として厳しい状況で、8月から10月までの3ヵ月間の失業率は3.7%と非常に低い水準となっている。

BOEは2022年第4四半期(10~12月)の英国のGDP成長率はマイナス0.1%と予想しており、前回(11月)予想のマイナス0.3%から上方修正となった。また、政府が発表した秋季経済計画(2022年11月18日記事参照)の追加財政措置と「エネルギー価格保証(EPG、2022年9月9日記事参照)」によって、今後1年間のGDP成長率は11月の予想と比較して0.4ポイント引き上がると予想した。

11月の前年同月比の消費者物価指数(CPI)上昇率は10.7%で、10月の11.1%から低下した。EPG導入によってインフレ率の上昇幅は抑えられたものの、家庭用エネルギー料金は依然として上昇に寄与している。MPCは、EPGの導入によって2023年第2四半期(4~6月)のインフレ率は0.75ポイント引き下がるとしている。

また、BOEは、量的緩和策で買い入れた英国債8,750億ポンド(約146兆円、1ポンド=約167円)のうち、2022年第4四半期に60億ポンドの売却を完了したと発表。2022年全体では、満期分と合わせて440億ポンド減少したとしている。また、9月28日から10月14日にかけて一時的に買い入れた長期国債(2022年9月29日記事参照)についても、12月13日時点で約4割を売却したとしている。

住宅ローンの支払額も上昇見込み

前回のMPC以降、英国の固定金利型住宅ローンの利率は低下したが、夏と比べると依然として非常に高い水準にある。BOEは13日、住宅ローン利用者の約半数の400万人が2023年に住宅ローン金利の上昇の影響を受けることになるとした。

(島村英莉)

(英国)

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