ホーチミン市都市鉄道1号線、初の試運転を実施

(ベトナム)

ホーチミン発

2022年12月28日

ベトナムのホーチミン市で1221日、建設中の都市鉄道1号線(ベンタイン~スオイティエン)の高架区間で試運転が実施された。2012年の着工以降、本線上を走行する試運転は今回が初めてとなる。同日付の複数の現地紙が伝えた。

同都市鉄道1号線は、20225月までに配備予定の17編成分、計51車両が到着し、これまではホーチミン市の直轄市であるトゥードゥック市所在のロンビン車両基地(デポ)で走行試験が行われていた(2022年5月17日記事参照)。今回の試運転は、トゥードゥック市内のスオイティエン駅からビンタイ駅までの約9キロの高架区間で、3両編成の列車を使用して実施された。最高速度は地下で時速80キロ、地上で時速110キロの計画だが、今回は安全確保のため、時速40キロ未満での走行となった(「トイチェ」紙1221日)。

ホーチミン市都市鉄道管理局(MAUR)によると、今後も他区間での試運転を継続する。次回の試運転は20231月に、自動列車停止装置(ATS、注1)と自動列車制御装置(ATC、注2)などのテストとともに実施する予定だ(「VNエクスプレス」紙1212日)。

同都市鉄道1号線の建設プロジェクトの投資総額は437,000億ドン(約2,447億円、1ドン=約0.0056円)で、その約8割が日本の国際協力機構(JICA)による円借款供与。路線の全長は19.7キロ(高架区間17.1キロ、地下区間2.6キロ)。現在のプロジェクトの進捗率は93.6%で、現地報道によると、設置される14駅(地上駅11、地下駅3)のうち、地下駅のオペラハウス駅とバソン駅、高架駅のハイテクパーク駅はほぼ完成している(「VNエコノミー」紙126日)。

同都市鉄道1号線については、ファム・ミン・チン首相らが7月に建設現場を視察した際、完成を急ぐよう指示していた(2022年8月12日記事参照)。128日に開催されたホーチミン市人民評議会第8回会議では、同市人民委員会のファン・バン・マイ委員長が「2023年中には完成させる予定」との見通しを示している(「トイチェ」紙128日)。

写真 試運転の様子(ホーチミン市都市鉄道管理局提供)

試運転の様子(ホーチミン市都市鉄道管理局提供)

(注1)鉄道車両が信号機の停止指示に反して進行するのを防ぐため、自動的にブレーキをかけるシステム。

(注2)鉄道車両の速度が超過した場合、自動的にブレーキをかけて制限速度以下に抑えるシステム。

(阿部浩明、村岡一機)

(ベトナム)

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