水素の調達・輸入を進める「H2グローバル」プロジェクト始動

(ドイツ)

ミュンヘン発

2022年12月12日

ドイツ連邦経済・気候保護省(BMWK)は12月8日、グリーン水素(注)の欧州域外での生産と輸入を推し進めるための「H2グローバル」プロジェクトが始動したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

同プロジェクトは、将来のグリーン水素の需要は欧州域内だけでは全ては賄えないとし、アフリカなど、EUや欧州自由貿易連合(EFTA)以外のグリーン水素生産に適した国・地域と提携するもの(2021年6月23日記事参照)。対象は水素のほか、水素派生製品のアンモニア、メタノール、持続可能な航空燃料(SAF)などで、現地での製造に当たってはドイツの技術を活用する。

現状では、水素需要の見通しが不透明なため、現地での関連投資が進まないという課題がある。このため、今回の発表では、2021年6月に設立された「H2グローバル財団(H2Global Stiftung)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の子会社「HINT.CO(Hydrogen Intermediary Network Company)」が10年の長期契約で水素派生製品を購入するとされた。長期の購入契約を通じ、製造向け投資を促進する。購入に当たっては、入札を実施し、可能な限り安価に水素派生製品を購入する。購入価格と需要家への再販価格の差額は、経済・気候保護省が補填(ほてん)することになっており、そのため9億ユーロを確保している。連邦政府は2023年予算で、2036年までに補填に必要となる35億ユーロを確保する予定。また、水素派生製品の実際の欧州・ドイツへの輸入は2024年末から始まる見込みだ。

「H2グローバル」の具体的な入札プロジェクトは、ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで確認できる。

「H2グローバル財団」はグリーン水素の製造・利用などを推進する団体。水素を製造する水電解装置などを扱うリンデやMANエナジー・ソリューションズ、鉄鋼のティッセンクルップやザルツギッター、エネルギー大手のシーメンス・エナジー、RWE、E.ON、商用車のダイムラートラック、金融のコメルツ銀行など、水素に関わる企業51社が参画している。

(注)再生可能エネルギー由来の電力を利用して、水を電気分解して生成される水素。製造過程で二酸化炭素を排出しない。

(高塚一)

(ドイツ)

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