大阪発、メドテック支援プログラム「Global Navigator Japan」、ジェトロが開催

(オーストラリア、シンガポール、日本)

シドニー発

2022年12月23日

ジェトロは、医療・ヘルスケア分野の日本のスタートアップ(SU)がアジア太平洋地域で展開するビジネスを支援するプログラム「グローバル・ナビゲーター・ジャパン(GLOBAL NAVIGATOR JAPAN)」を開催し、シンガポール、シドニー、メルボルンの計2カ国3地域を巡った(期間:1123日から122日まで)。

同プログラムは、海外展開をしたいサービスや製品を持つ、主にシリーズAからCといった、大阪を中心とした日本のSUが対象。事前に選抜された計7社のSUが参加した。初期段階のSUや起業家に対して、アイデアの商業化に焦点を当てたメンタリングや集中講義を実施した「オリジン・ジャパン(ORIGIN JAPAN)」(2022年11月4日記事参照、注)とは対象企業やプログラムの内容が異なる。海外でのビジネス展開に向けたより実践的な内容のメドテック支援プログラムだ。

参加企業は、シンガポールとオーストラリア(シドニー、メルボルン)で、現地の病院や研究所、医療施設、政府機関、スタートアップハブ(創業支援拠点)を訪問し、現地の医療機器やヘルスケアサービスに関する規制、治験を行うプロセス、政府機関のSUへの支援枠組みやSUエコシステムについて、各訪問先の担当者から説明を受けた。併せて、現地投資家に対して参加企業がそれぞれピッチを行い、自社のサービスや製品を直接アピールする機会も設けられた。

また、オーストラリアでは、別プログラムであるグローバル・ナビゲーター・シンガポールに参加しているシンガポール発SU5社が合流し、ともに海外でのビジネスを模索すると同時に、日本とシンガポールのSU同士による国際的な交流を深めた。

写真 現地投資家に対して自社サービスの説明を行う日本のSU(ジェトロ撮影)

現地投資家に対して自社サービスの説明を行う日本のSU(ジェトロ撮影)

参加企業からは、「今回希望していた医療関係者と直接話をする機会を得て、今後の共同研究先の候補をシンガポール、オーストラリアの両方で見つけることができた」「現地の医療関係者や投資家だけではなく、日本、シンガポールのメドテックSU同士の横のつながりができたのは、今後のビジネスの大きな糧となる」「日本との時差が少なく、多種多様な人種のデータが取りやすいオーストラリアをテストマーケット先として考え、同じ英語圏である米国進出などへの足掛かりとしたい」などといったコメントが寄せられ、今後の海外でのビジネス展開に対して期待感を表していた。

写真 現地スタートアップハブを訪問し、説明を受ける日本・シンガポールのSU(ジェトロ撮影)

現地スタートアップハブを訪問し、説明を受ける日本・シンガポールのSU(ジェトロ撮影)

なお、ジェトロは2023年度に向けて、今年度実施した日本発SUの海外展開支援だけではなく、海外SUによる対日投資促進(オーストラリアのSUの日本進出支援)のプログラム開催といったSU支援の枠組み拡大も検討している。日本からの海外展開と海外からの投資促進の双方向でSUを支援し、日本のイノベーションをさらに促進していく。

(注)「オリジン・ジャパン」については、ジェトロの国際ビジネス情報番組「世界は今 -JETRO Global Eye」でも発信している。併せて視聴してほしい。

(児島亨)

(オーストラリア、シンガポール、日本)

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