中国副首相、オミクロン株の病原性低下で「新たな局面」との認識

(中国)

北京発

2022年12月02日

中国国務院(内閣)の孫春蘭副首相は11月30日、国家衛生健康委員会の座談会で「オミクロン株の病原性が低くなり、ワクチン接種率が上昇し、防疫の経験が蓄積されたことにより、わが国の感染対策は新たな局面と新たな任務に臨んでいる」との認識を示した。

また、感染対策は「少しずつ、止まらずに歩む」として診断、検査、治療、隔離などの改善を進め、高齢者のワクチン接種を強化するとともに、治療薬や医療資源の備えを進めるとした。その上で、「感染は防ぎ、経済を安定させ、安全に発展する」という方針を実行するとした。

オミクロン株については、中国疾病予防・コントロールセンターの常昭瑞研究員が11月29日の記者会見で「従来株やデルタ株などと比べ、病原性や毒性が低い」との認識を示していた。同時に、基礎疾患を有する場合や、高齢者、ワクチン未接種の場合は一定の割合で重症化する可能性があるとし、ワクチン接種の有効性を強調した。

中国政府は11月11日に「新型コロナウイルス感染拡大の予防抑制措置をよりいっそう合理化し、科学的で精密な防疫を徹底する通知」(防疫20条)(2022年11月15日記事参照)を発表、11月29日には同通知の徹底を図り「市民から寄せられた緊急的な問題に迅速・効果的に対応し、防疫の各種の取り組みをより精密に、より温かみのあるものにしていく」としている(2022年12月1日記事参照)。

地方においても、検査頻度や社会管理体制の調整が相次いでいる。北京市では11月30日から全ての区で、長期間在宅している高齢者、オンライン授業を受けている学生、在宅勤務者、乳幼児などは、外出する必要がない場合、全員対象の新型コロナウイルス検査(注)を受ける必要はないとした。市内に多く見られた無料検査所も11月下旬以降、停止・閉鎖が相次いでいる。

写真 停止中の新型コロナウイルス無料検査所(ジェトロ撮影)

停止中の新型コロナウイルス無料検査所(ジェトロ撮影)

多くの感染者が出ている広東省広州市でも、11月30日に新たな方針として、高リスクエリアはビル単位で精密に定め、新型コロナウイルス検査もリスクの高い業務に従事する場合や重点対象のみに限り、原則として行政エリアを単位とする全員検査は行わないなどの措置を発表した。これにより、封鎖措置が取られていた多くのエリアで規制が解除されたと報じられている(「紅星新聞」12月1日)。

(注)中国の多くの地域で、公共交通機関の利用時や、住宅エリア、オフィスビルなどに入る場合に新型コロナウイルス陰性証明が求められている。

(河野円洋)

(中国)

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