スーダンで暫定内閣が発足

(スーダン)

カイロ発

2022年01月24日

スーダン国営通信(SUNA)は1月20日、アブドゥル・ファッターハ・ブルハーン主権評議会議長兼国軍司令官が、閣僚が空席となっていた15省で大臣代理を担っていた次官を正式に大臣に任命し、暫定内閣を発足させたと報じた。内相に選出されたオスマン・ハサン・オスマン氏には首相権限が与えられ、同氏が議長を務める閣僚会議が2022年度予算の承認を行った。

スーダンでは、2021年10月に軍のクーデターでアブダッラー・ハムドゥーク首相が拘束・解任されて以降、政治状況が目まぐるしく変化している。ハムドゥーク首相は約1カ月後に復職し、民政移管の再開に向けて軍と合意に達していたが、民主化勢力の中心「自由と変革勢力(FFC)」が軍に妥協したハムドゥーク首相に反発し、FFCと関わりのある閣僚10数人が辞任(2021年12月1日記事参照)、空席となった閣僚職には次官が割り当てられていた。ハムドゥーク首相は新たなテクノクラート内閣の形成を目指していたものの、政治的混乱を収めることができなったとして、1月2日に辞任した(2022年1月7日記事参照)。

ハムドゥーク首相辞任を受け、軍による支配がさらに強まることを懸念した国際社会は、軍の統治に協力しない姿勢を示し、クーデター以後に停止している経済援助は軍による一方的な支配下では再開しないことを次々に表明している。国連スーダン統合移行支援ミッション(UNITAMS)の責任者フォルカー・ぺルテス氏は1月8日、スーダンが民主主義と平和への道に戻るために政党と軍との対話を促す「スーダンの政治的移行に関する協議」を発表し、対スーダン外交で共同歩調をとっている米国、英国、ノルウェーやEUが現在の政治危機解決のために対話を繰り返してきた。

クーデター以後、国際援助が止まったスーダンでは、インフレが加速している。食料品や電気代、通信費、ガソリンなどが大幅に値上げされており、市民生活に大きな影響を及ぼしている。北部州では電気代の値上げに抗議し、エジプトへ続く道路が封鎖される事態が発生している。

(齊木隆太朗、福山豊和)

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