中央経済工作会議、2023年の5つの重点経済任務に言及

(中国)

中国北アジア課

2022年12月27日

中国の2023年の経済政策の方針を決める中央経済工作会議が12月15~16日に北京市で開催され、2023年の経済の基本方針として、引き続き「安定」を第一とし、「穏中求進」(安定の中で前進を求める)という全体の基調を堅持する方向性を示した(2022年12月20日記事参照)。

同会議では、2023年の経済任務は山積みだが、要をつかんでしっかり取り組まなければならないと指摘しつつ、以下の5つを重点経済任務として取り上げた。

  1. 国内需要を着実に拡大させる。消費の回復と拡大を優先的な位置付けとしなければならない。住宅の改善、新エネルギー車、介護サービスなどの消費を支援。第14次5カ年(2021~2025年)規画の重点プロジェクトの実施加速、地域間インフラの相互連結を増強。民間資本の国家重大プロジェクトなどへの参画を奨励。先進技術、重要設備、エネルギー資源などの輸入を積極的に拡大。
  2. 現代化産業システムの建設を加速する。重要コア技術と部品の脆弱(ぜいじゃく)な部分をつきとめ、優れた資源を組み合わせて難関攻略に取り組み、自主コントロール可能で安全な産業システムを保証。新エネルギー、人工知能(AI)、バイオ製造、グリーン・低炭素、量子コンピューティングなど最先端技術の研究開発と応用を推進。発展・雇用・国際競争面でのプラットフォーム企業の牽引機能発揮を支援。
  3. 「2つのいささかも揺るぐことなく」(注)を適切に実施する。国有資産、国有企業改革を深化させ、国有企業のコア競争力を高める。制度と法律上での国有企業と民営企業の平等な取り扱い要求を確実にする。政策や世論から民営経済と民営企業の発展・壮大化を奨励・支援する。
  4. より大きな力で外資を誘致し、活用する。より高いレベルで対外開放を推進。市場参入の拡大、現代サービス業分野の開放加速。外資企業の内国民待遇の着実な実施。環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)とデジタル経済パートナーシップ協定(DEPA)など高水準な協定への加入推進(関係ルールなどに従い国内関連分野改革を深化)。外資の貿易・投資・商談への従事のため最大限便宜を図る。
  5. 重大な経済・金融リスクを効果的に防止・解消する。不動産市場の安定的発展を確保。住宅引き渡しの着実な実施。不動産業の合理的な資金需要を満たし、業界再編とM&Aを推進、トップ企業の資産・負債状況を改善。「住宅は住むためのもので、投機のためのものではない」の方針を堅持。金融リスクの防止・解消を行う。地方政府債務の増加抑制、残高の解消を断固として実施。

新型コロナウイルス感染拡大の影響から回復するため、消費の回復・拡大に優先的に取り組む意向や、米中摩擦などを見据え、科学技術の自立自強のための産業システムを構築していく姿勢などが見て取れる。プラットフォーム企業を含めた民営企業の発展支援のシグナルをあらためて発出したことも注目に値する。

(注)公有制経済をいささかも揺るぐことなく強固にし、発展させることと、非公有制経済の発展をいささかも揺るぐことなく奨励し、支援し、誘導することを指す。

(宗金建志)

(中国)

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