上海市、脱炭素に向けた科学技術支援の実施方案を発表

(中国)

上海発

2022年11月07日

上海市科学技術委員会など6部門は10月26日、上海市のカーボンピークアウトに向けた実施方案(2022年8月4日記事参照)などに基づき、カーボンピークアウトとカーボンニュートラルに向けた科学技術支援の実施方案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。

今回の方案は主な達成目標として、(1)2025年までにエネルギー、工業、建築、交通などの重点分野で100件の低炭素コア技術を研究開発、(2)10件の主要モデルプロジェクトを創設、(3)10カ所のカーボンニュートラル関連分野の実験施設と5カ所のグリーン技術イノベーションセンターの設立を掲げている。さらに、2030年までのカーボンピークアウト達成に向けて、低炭素科学技術人材とイノベーションチームを育成することや、2060年までのカーボンニュートラル実現に向けて、低炭素・ゼロカーボン・カーボンネガティブ(注)技術を国際的にも先進的なレベルまで押し上げることなども記載している。

方案は、目標達成に向けた具体的取り組みとして、10項目22分野で構成されている。主な内容は以下のとおり(詳細は添付資料表参照)。

  • 再生可能エネルギー、水素エネルギー、既存エネルギーの高効率化、新しい電力システムなどにかかわるコア技術の研究開発を実施。
  • 廃棄電子機械、電器電子製品の自動分解・回収再利用技術、廃棄自動車の重要部品のリサイクル技術、多種廃棄物の協同処理とリサイクル技術、大型設備再構築の人工知能(AI)利用技術、新エネルギー車電池の処理とリサイクル技術などの研究開発。
  • 都市・農村部の建築建材の高性能化に向けた研究開発、交通分野のグリーン化、電気化、AI化を推進し、新しいインフラの低炭素化の支援。
  • 二酸化炭素の排出源と吸収源のモニタリング、計量、検査、計算、認証、評価、監督管理の技術システムと、標準システムの構築のための科学技術イノベーションのサポートと保障の強化。
  • 低炭素技術の知的財産権データベースを構築し、低炭素科学技術企業の知的財産権情報の検索と分析能力の向上。
  • 関係国とカーボンニュートラル技術共同研究センター、技術展開機構の共同設立の模索。
  • 国際組織と低炭素分野の国際交流・協力を強化し、アジア太平洋、ASEANなどの地域でグリーン低炭素科学技術開発協力に関する国際組織の創設の支援。

(注)植物などによって吸収される温室効果ガスの量が排出される量を上回ること。

(宋青青)

(中国)

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