半導体製造向け真空製品の英エドワーズ、米ニューヨーク州で工場新設

(米国、英国)

ニューヨーク発

2022年11月04日

半導体製造向けの真空製品大手の英国エドワーズは11月2日、米国ニューヨーク(NY)州に3億1,900万ドルを投資し、半導体ドライポンプの工場を新設すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

NY州西部のジェネシー郡に所在する工業団地「科学技術先進製造団地(STAMP)」で、今後7年間にわたり計画を進める。約600人の新規雇用の創出につながるとしている。同社半導体部門トップのケイト・ウィルソン氏は「需要の高まりを受けて、顧客の近くでの製造能力拡大に投資する必要性が高まっている」と投資計画の目的に言及した。米国内の半導体産業振興のための予算を含むCHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)が8月に成立して以降、NY州ではマイクロンやIBMが巨額の投資計画を発表しており(2022年10月6日記事10月11日記事参照)、エドワーズの投資も同法の恩恵を受けるものとみられる。NY州のキャシー・ホークル知事はプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで「マイクロンによるNY州中部での1,000億ドルの投資、また、NY州のグリーンCHIPS法とCHIPSプラス法を受けて、NY州は先端製造業のグローバルハブとなり、未来の雇用を誘致する上でかつてないほど優位な状態にある」と今回の計画を歓迎した。CHIPSプラス法を起草した同州選出の上院民主党トップのチャック・シューマー院内総務も「私のCHIPSプラス法が光のつえとなって、アップステートの製造業にかつてないほどエネルギーが流れ込んでいる。今回の投資は、未来の半導体がNYの労働者によって米国の製品でつくられることをさらに確実なものにする」と述べた。

NY州は8月に成立したグリーンCHIPS法を核とした半導体産業の誘致策「グリーンCHIPSプログラム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を展開している。最大で100億ドル規模のインセンティブ制度で、10年以内に最低500人の新規雇用を創出して30億ドル規模の投資を行う企業に対し、還付可能な税額控除などを提供する。また、投資計画に伴う温室効果ガス(GHG)排出を削減する措置や、建設に当たっては州内の一般的な賃金を支払うことなども条件となる。今後もNY州をはじめ米国内で半導体関連の投資が続きそうだ。

(磯部真一)

(米国、英国)

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