COP27で先進国に気候変動適応資金の倍増への計画示すよう求める

(中国)

北京発

2022年11月15日

中国の習近平国家主席の特別代表を務める解振華・気候変動問題担当特使は11月8日、エジプトのシャルム・エル・シェイクで開催されている国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)の首脳級サミットで演説した。

解特使は、現在世界でエネルギー危機や食糧危機が顕在化しており、気候変動プロセスは厳しい試練に直面しているとの認識を示した上で、多国間主義や団結協力こそが困難を乗り越える道であり、先進国と途上国の間の「共通だが差異ある責任」の原則が困難に打ち勝つ必然的な選択となると主張した。先進国に対して、率先して炭素排出削減の取り組みを強化し、カーボンニュートラルを前倒しで実現し、かつ、途上国にとって最も関心の高い適応や資金の問題について実質的な成果を上げるよう求めた。さらに、パリ協定(注1)の履行に関して、先進国が約束した資金拠出を早期に実行し、気候変動に対する適応資金を倍増させるロードマップを示すよう求めた(注2)。解氏は、中国は関係国とともに、多国間主義を堅持し、公平で合理的、互恵的でウィンウィンなグローバル気候ガバナンスシステムを構築していくことを望むとも述べた(「人民網」11月9日)。

米国との非公式な意思疎通は継続

また、解氏は11月9日にエジプトで行った記者会見で、化石燃料エネルギーの排出を削減するには、まず再生可能エネルギーを大きく発展させることが前提となると主張し、現在、中国の再生可能エネルギー発電設備の総量が多くの先進国の合計を上回っている(2021年4月7日記事参照)と紹介した。他方、中国は14億人の人口大国として、民生の保障や電力網の安全のために石炭火力発電所を新設しているが、これらは「世界最高水準の効率」があり、新設と同時に多くの古い発電所を淘汰(とうた)しているため、二酸化炭素(CO2)排出を新たに増やしてはいないと主張した(「新華網」11月10日)。

気候変動分野における米国との協力については、「中国が中米間の気候変動に関する交渉の一時停止を表明した責任は米国にある」と指摘しつつ、「中米間の非公式な意思疎通はこれまで中断したことはない」とも述べた(「中国新聞網」11月11日、注3)。

(注1)2015年12月の国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で署名。2020年以降の温室効果ガス排出削減などに関する多国間協定。

(注2)解特使は11月9日の記者会見で、先進国は2009年のコペンハーゲン会議(COP15)で約束した毎年1,000億ドルの資金拠出を実行していないと指摘した上で、まず2022年分として1000億ドルを拠出した上で、2025年以降のさらなる資金追加のスケジュールとロードマップを示すよう求めた(「新華網」11月10日)。

(注3)中国外交部は8月5日、米国のナンシー・ペロシ下院議長の台湾訪問に対し、「気候変動に関する交渉の一時停止」を含む8つの対抗措置を発表している(2022年8月9日記事参照)。

(小宮昇平)

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