1~9月の輸出は前年同期比3割増と堅調も、今後は下振れリスク懸念

(マレーシア)

クアラルンプール発

2022年11月10日

マレーシア統計局は10月28日、1~9月の貿易総額が前年同期比32.9%増の2兆1,299億リンギ(約66兆269億円、1リンギ=約31円)だったと発表した(添付資料表1参照)。輸出額は1兆1,587億リンギ、輸入額は9,713億リンギで、ともに3割以上増加した。貿易黒字は6.3%増の1,874億リンギとなった。貿易総額、輸出入額、貿易黒字のいずれも、この期間(1~9月)としては過去最高額を記録した。

輸出を品目別にみると、全体の37.8%を占める電気・電子製品が4,385億リンギで、前年同期比35.4%増加し、引き続き好調だった(添付資料表2参照)。同品目の半分強を占めた集積回路が37.5%増の2,247億リンギに増加した。パーム油・同製品が43.2%増の1,065億リンギ、精製石油製品が81.8%増の1,122億リンギ、液化天然ガス(LNG)が81.5%増の477億リンギと、いずれも堅調だった。これらの上位品目だけでなく、ゴム製品を除く全ての品目が前年同期比で増加した。

国・地域別にみると、輸出では、シンガポール向けが前年同期比35.7%増の1,703億リンギで首位だった(添付資料表3参照)。次いで、中国(13.4%増の1,554億リンギ)、米国(21.1%増の1,238億リンギ)、日本(31.8%増の729億リンギ)、香港(29.4%増の716億リンギ)が続いた。これら上位5カ国・地域向けの輸出が全体の約半分を占めた。シンガポールや中国、米国、香港向け輸出では、電気機器とその部分品が1位だったが、日本向け輸出では、同品目よりも、LNGや原油、石油製品などの鉱物性燃料や鉱物油が主に寄与した。

輸入では、中国が22.7%増の2,051億リンギで、引き続き最大の輸入相手国だった。シンガポールが57.5%増の1,034億リンギで、2位だった。続いて台湾が46.6%増の785億リンギ、米国が38.9%増の749億リンギ、日本が14.9%増の622億リンギだった。

四半期ごとの輸出増減率をみると、2022年第2四半期(4~6月)と比較して、欧州を除く上位相手国・地域向け輸出寄与度がそれぞれ拡大した(添付資料図参照)。

なお、ユナイテッド・オーバーシーズ銀行の研究所(UOB Research)は輸出額の伸びについて、2022年は前年比26.0%増となる一方、2023年は景気悪化への懸念や半導体需要の減速に伴って、1.5%に縮小すると予測している。他方、11月29日にマレーシアで発効する環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11、2022年10月12日記事参照)、2022年3月に発効した地域的な包括的経済連携(RCEP)協定による市場アクセス改善や、米国との半導体サプライチェーン強靭(きょうじん)化に関する覚書締結(2022年5月12日記事参照)が今後の貿易拡大を下支えするとみている。

(エスター頼敏寧)

(マレーシア)

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