バイデン米大統領、議会幹部と今後の優先課題を協議、鉄道スト回避が喫緊の課題

(米国)

ニューヨーク発

2022年11月30日

米国のジョー・バイデン大統領は11月29日、連邦議会の幹部をホワイトハウスに招待して、今後の優先課題を協議した。

招待されたのは、上院のチャック・シューマー院内総務(民主党、ニューヨーク州)およびミッチ・マコーネル少数党院内総務(共和党、ケンタッキー州)、ならびに下院のナンシー・ペロシ議長(民主党、カリフォルニア州)およびケビン・マッカーシー少数党院内総務(共和党、カリフォルニア州)の4人。ホワイトハウスが公表した会談要旨外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、バイデン大統領は議会幹部に対してこれまでの超党派による立法努力に感謝するとともに、有権者が求めているように今後も超党派で誠実に協力していく意向を示した。その上で、喫緊の課題として、議会がいかにして全米の貨物鉄道業界におけるストライキを回避することができるかを協議したとしている。バイデン大統領は前日の11月28日にも、議会に対して鉄道労使間が2022年9月に締結した暫定合意を導入する法律を可決するよう要請外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている(2022年11月30日記事参照)。

また、バイデン大統領と議会幹部は、2023年度(2022年10月~2023年9月)の連邦政府予算の歳出法案についても協議を行った。現在は、2022年9月末に成立させたつなぎ予算で12月16日までの政府資金をまかなっている状態だ(2022年10月3日記事参照)。よって、同日までに歳出法案もしくは、さらなるつなぎ予算が成立しない場合は、政府機関の一部が閉鎖する事態を招く。今後の見通しについて、上院のシューマー氏とマコーネル氏はともに、再びつなぎ予算を通すよりも、歳出法案を成立させることが優先であることについて参加者間で合意したと発言している(政治専門誌「ザ・ヒル」11月29日)。

会談要旨の最後では、バイデン大統領は共和党幹部に対して、いかなる考えの対立があったとしても、自身は常に共通の土台を探す意欲があり、そのために共和党側の考えに耳を傾ける用意があると伝えたとされている。2023年1月3日から2年間続くことになる第118議会では、中間選挙の結果を受け、上院では民主党が多数党を維持する一方、下院では共和党が多数党となる。よって、超党派で合意できなければ各種法案を成立させることは難しいとみられている(2022年11月30日記事参照)。重要案件で共和党がバイデン大統領の呼びかけに歩み寄るか、年末までの動きを含めて注目が集まる。

(磯部真一)

(米国)

ビジネス短信 d51b21139f8df942