バイデン米大統領、鉄道ストライキ回避に向けて議会に介入を要請

(米国)

ロサンゼルス発

2022年11月30日

ジョー・バイデン大統領は11月29日、鉄道ストライキを回避するため、鉄道労働者と運行会社の暫定合意を、いかなる修正も遅延もなく採用するための法案を直ちに可決するよう議会に要請する声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。

バイデン大統領は声明の中で、「鉄道のシャットダウンはわれわれの経済に壊滅的な打撃を与える」と懸念を表明し、2週間、鉄道の運行が停止しただけで76万5,000人以上の米国人(その多くは鉄道組合員)が失業する可能性があると指摘した。また、労働者の支持を得て選出された大統領として、暫定合意に反対票を投じた組合員の意見を覆すことは本意でないとしつつも、「シャットダウンによる経済的影響が他の何百万もの労働者や家族に及ぶ今回のケースでは、連邦議会はその権限を行使してこの暫定合意を採択しなければならない」との考えを示した。

米国鉄道業界では、2020年1月から主に賃上げを争点とした労使交渉が、貨物鉄道会社と従業員の労働組合の間で継続しており、バイデン政権の仲介の下、2022年9月15日に労使交渉に参加する全組合と鉄道会社による暫定合意が締結された(2022年9月16日記事参照)。その後、各組合で暫定合意を承認するプロセスが進められているが、2万8,000人を超える組合員が所属する板金・航空・鉄道・運輸組合輸送部門(SMART-TD)の一部を含む4組合が暫定合意を否決したため、12月9日(注)から鉄道ストライキに発展する懸念が高まっている(2022年11月22日記事参照)。

(注)全米輸送会社会議委員会(NCCC)と鉄道信号員組合(BRS)は11月22日、労使交渉継続の期限を12月5日午前0時1分から12月9日午前0時1分まで延期することに合意した。これにより、暫定合意を否決した4組合の労使交渉継続期限はいずれも12月9日午前0時1分となっている。

(永田光)

(米国)

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