中間選挙後の米国の政治・経済見通し、ジェトロ駐在員が現地から解説

(米国)

米州課

2022年11月30日

ジェトロは11月22日、中間選挙後の米国政治・経済見通しウェビナーを開催した。

現在の米連邦議会は、上下両院ともに民主党が多数派政党となっているが、11月8日に投開票が行われた中間選挙で、上院は民主党が多数派に、下院は共和党が多数派になることが確実になったことから、2023年1月から始まる第118議会はねじれ議会となる(2022年11月17日記事参照)。そのため、ジョー・バイデン大統領の残り2年の政権運営について、注目が集まっている。

ウェビナーに登壇したジェトロ・ニューヨーク事務所の磯部真一・調査担当ディレクターは、第118議会では超党派で合意できる法案以外は成立の見込みは低いとの見通しを示した上で、特に連邦政府の債務上限の引き上げについては、年末までに対処ができない場合、「2023年に両党の間で激しい交渉が予想される」との見解を示した。

同事務所の米山洋次長は米国のビジネス環境について解説し、景気減速の主因であるインフレは金融引き締めの影響から足元では鈍化してはいるものの、インフレの水準自体は引き続き高いとし、今後は物価全体に占めるウエートの大きい住居費の動向が注目されると指摘した。また、販売台数を伸ばしている電気自動車(EV)の動向については、モデル数増加や普及を促すバイデン政権の政策が販売台数拡大に寄与していると指摘し、新型モデル生産やバッテリー工場設立の投資事例を紹介した(注)。

ウェビナーではそのほか、米国の対ロシア制裁の動向や、1974年通商法301条に基づく追加関税措置の状況、消費市場の特徴とトレンドなどについても解説があった。

質疑応答では、10月の半導体規制のような厳しい対中措置が今後実施される可能性はあるかといった対中措置に関する質問や、インフレ率はピークアウトしたような報道もみられるが2023年の個人消費の見通しはどうか、EV普及の制約要因は何かといった米国内の経済動向に関する質問などが参加者から挙がった。

このウェビナーは、2023年1月29日まで、ジェトロのウェブサイトでオンデマンド配信を行っている。

(注)北米のEV普及については、ジェトロの地域・分析レポートも参照。

(赤平大寿)

(米国)

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