バイエルン州、2023年予算で水素と再エネ導入促進に総額5億ユーロ確保

(ドイツ)

ミュンヘン発

2022年11月24日

ドイツのバイエルン州政府は116日、2023年予算で、水素と再生可能エネルギーの導入推進に向けて、総額5億ユーロの予算を確保することを閣議決定した。

まず水素関連には、合わせて27,000万ユーロを支出する。

具体的には、州内での水素製造を進めるべく、15,000万ユーロで、バイエルン州内に設置する約50の水電解装置を助成する。州内では既に複数の地域で、グリーン水素(注)製造プラントの稼働・建設が進む(2022105日記事参照)。今回の予算措置で、州政府としてこの流れをさらに推し進める。

また、州内の生産性の高い水素インフラ構築に1億ユーロを投資する。具体的には、ミュンヘンから北に約80キロにあるインゴルシュタットで行われる水素インフラ・プロジェクト「ハイパイプ・ババリア(Hypipe Bavaria)」などが対象となる。同プロジェクトは、地元ガス会社、石油精製会社、電力公社、インゴルシュタットに本社・工場を有する自動車メーカーのアウディなどが実施しているもので、1115日には当該プロジェクト参加企業・団体から、支援を歓迎する旨の発表がなされた。

さらに、商用車・バス用の水素充填(じゅうてん)ステーションの建設の助成に2,000万ユーロを支出する。バイエルン州はこれまでも水素充填ステーションの建設を助成してきたが(2020107日記事参照)、需要が多いため、今回追加で措置する。州政府によると、州として商用車・バス用水素充填ステーション建設を助成するのは、ドイツで同州のみだという。

一方、再生可能エネルギー関連では、許認可手続きのための人員を100人追加雇用する。バイエルン州では1116日、陸上風力発電用の風車建設のための規制を一部緩和する改正法が施行された(20221116日記事参照)。申請増加を見越して、認可手続きに時間がかからないよう、人員を拡充する。

そのほか、今回の予算では、州施設に太陽光パネルを設置するため12,500万ユーロ、バイオマス導入促進に1,000万ユーロ、地熱研究に1,000万ユーロが措置された。

(注)再生可能エネルギー由来の電力を利用して、水を電気分解して生成される水素。二酸化炭素(CO2)フリー。

(高塚一)

(ドイツ)

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