テンセント、微信上の模倣品対策を日本企業へ紹介

(中国、日本)

知的財産課

2022年11月24日

ジェトロが事務局を務める国際知的財産保護フォーラム(IIPPF、注1)は11月9日、特許庁委託の模倣品対策強化事業の一環として、中国IT大手の騰訊科技(テンセント)が運営するSNSプラットフォーム「微信」上の模倣品対策について、同社と意見交換会を実施した。

微信およびその世界版「WeChat」は世界に13億人以上のユーザーを持ち、とりわけ中国では日常生活に不可欠といわれるほど国民に広く浸透している。個人間でメッセージのやり取りができる「チャット」機能に加え、写真やテキストを設定範囲内のユーザーと共有できる「モーメンツ」、ビジネスツールとして利用可能な「公式アカウント」(注2)、「ミニプログラム」(注3)などの機能が備わっている。他方、その汎用性や利便性の高さから、近年は模倣品取引に利用されるケースが後を絶たず、日本企業においても対策が急務となっている。

今回の意見交換会では、テンセントがSNSプラットフォーマーとして独自に実施する模倣品対策が紹介され、特に「ブランド・プロテクション・プラットフォーム(BPP)」について、詳細な説明がされた。BPPは、「微信(テンセント)」「権利者(ブランドオーナー)」「通報者(一般ユーザー)」の3者が連携し、模倣品販売を含む違反行為に関する情報提供や証拠収集を行うことができるプラットフォームだ。テンセントによると、2022年9月現在、500を超える権利者からの登録があった。BPPにおいて、ブランドオーナーは、独自の調査や一般ユーザーからの通報をもとに、自社ブランドの侵害実態に関し情報を収集することができる。その後、調査や通報によって入手した写真などの証拠をもとに、権利侵害の有無について自社で「検証(鑑定)」を行い、テンセントへ検証結果を通知すると、侵害者に対してテンセントより適切な措置が取られる。(詳細は「微信BPPアクセスガイドライン外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」参照)。一般ユーザーからの通報をもとに侵害行為を発見できるという同ツールの活用を広く推進すべく、通報プロセスに係るガイドライン外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますなどの整備が進められている、との説明があった。

意見交換会に参加した企業からは、BPPを活用したより効果的な模倣品調査の進め方や、模倣業者に対してどのような処罰が科されるかなどにつき質問や問題提起があった。また、企業は同社に対して、消費者への啓発活動における協業も求めた。

(注1)IIPPFは、海外における模倣品・海賊版などの知的財産権侵害問題の解決を目指す企業・団体によって2002年4月に設立され、現在、90団体・207企業が参加している。近年は、ネット上の模倣品対策に対応すべく、海外電子商取引(EC)事業者などとの意見交換会などを複数実施している

(注2)企業専用アカウント。微信上で企業および商品情報の発信、自社商品サイトへの誘導、消費者との双方向コミュニケーションなどが可能となる。

(注3)微信内で独自のアプリや機能を追加することができるツール。企業が提供する商品・サービスに合わせて追加する機能をカスタマイズでき、例えば、モバイルオーダー、アプリ決裁、クーポンやチケットの発行、商品の購入が微信上で可能となる。中国人消費者向けに同プログラムを利用する日本企業の事例も見られる。

(藤本海香子)

(中国、日本)

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