米ファイザーとドイツ・ビオンテック、新型コロナ2価ワクチン中和抗体価が「BQ.1.1」で8.7倍に上昇と発表

(米国)

ニューヨーク発

2022年11月28日

米国製薬大手ファイザーとドイツのバイオ医薬ベンチャーのビオンテックは11月18日、新型コロナウイルスのオミクロン株の新しい変異株と新派生型に対する両社製の追加接種用2価ワクチンの有効性に関するデータを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

発表によると、米国の新規感染者の間で現在急速に増えているオミクロン型変異株の「BQ.1.1」に対する中和抗体価は、1価ワクチンでは1.8倍だったのに対し、BA.4とBA.5に対抗するために開発された2価ワクチンでは8.7倍に上昇した。また、国内の感染がまだ1%に満たないケンタウロス株の新派生型「BA.2.75.2」、国内で減少傾向にある「BA.4.6」、免疫回避性が高くてこれから増加する可能性があると懸念されている「XBB.1」に対する1価ワクチンと2価ワクチンの中和抗体価の比較も発表しており、2価ワクチンによる中和抗体価は1価ワクチンと比較して3.2~4.8倍高くなっている。

両社の「BA.4」と「BA.5」に対する2価ワクチンの中和抗体価は、11月4日に発表(2022年11月7日記事参照)しており、今回は追加の発表となった。米国食品医薬品局(FDA)は6月、ワクチンメーカーに対し、当時感染が拡大していた「BA.4」と「BA.5」に有効な改良ワクチンを開発するよう要請していたが(2022年7月14日記事参照)、そのころはまだ米国では「BQ.1.1」は問題になっていなかった。

米国のモデルナもまた11月14日、「BA.4」および「BA.5」に対する同社製の2価ワクチンの臨床データを発表し、その際、「BQ.1」と「BQ.1.1」に対する有効性に関しては、詳細データは発表しなかったものの、強固な中和活性が示されたとしている(2022年11月18日記事参照)。

米国疾病予防管理センター(CDC)の統計によると、国内の11月13~19日の感染者のうち、「BQ.1」は25.5%、「BQ.1.1」は24.2%、「BA.5」は24%で、「BQ.1」と「BQ.1.1」が「BA.5」を超えた。また、同週のデータで「BA.4」は、0.1%にとどまっている。

(吉田奈津絵)

(米国)

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