飲食料品や保健・個人衛生品の高騰で10月は6月以来のインフレ率に

(ブラジル)

サンパウロ発

2022年11月25日

ブラジル地理統計院(IBGE)は11月10日、代表的な物価指数である拡大消費者物価指数(IPCA)の10月単月の上昇率を前月比0.59%と発表した(添付資料表参照、注1)。同上昇率は前月のマイナス0.29%から一転して上昇し、かつ6月以来の上昇率を記録した。

10月単月の上昇率を費目別にみると、9項目中8項目が上昇した。最も上昇率が高かったのは衣類(1.22%)で、保健・個人衛生品(1.16%)、飲食料品(0.72%)、交通・運輸(0.58%)と続いた。寄与度で見ると、衣類は0.06ポイントにすぎないものの、飲食料品(0.16ポイント)、保健・個人衛生品(0.15ポイント)、交通・運輸(0.12ポイント)で寄与度が比較的高い。

IBGEは11月10日付公式リリースで、飲食料品はジャガイモ(23.36%)やトマト(17.63%)の上昇などが押し上げ要因になったと説明した。全国農業連合(CNA)が翌11日に発表した資料では、ジャガイモとトマトの収穫量が少なかったことが理由だという。IBGEのペドロ・キスラノフ拡大消費者物価指数(IPCA)部長によると、保健・個人衛生品では、個人衛生品(2.28%)や医療保険料金(1.43%)が押し上げ要因だった。医療保険料金については、2022年5月に国民健康保険庁(ANS)が許可した保険料金の引き上げが影響している(注2)という。交通・運輸の上昇要因は、航空券の価格が27.38%上昇したことによる。また、燃料価格が(1.27%減)減少したものの、前月の減少率(8.50%減)と比べて低い水準にとどまり、交通・運輸の上昇を抑える要因とならなかった。

減少を唯一記録した費目は通信(0.48%減)で、携帯電話料金(2.05%減)が押し下げ要因となった。

(注1)2022年1~10月累計では4.70%、直近12カ月で6.47%の上昇率だった。

(注2)ANSの公式サイト(6月15日付)によると、2022年5月に15.5%を上限とする医療保険料金の引き上げが許可された。引き上げは契約締結月に行わなければならないため、5月以降も引き上げの影響がみられる。

(エルナニ・オダ)

(ブラジル)

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