バイデン米大統領と米石油協会、ガソリン価格を巡り互いに批判の応酬

(米国)

ヒューストン発

2022年11月08日

米国のジョー・バイデン大統領は10月31日の記者会見で、エクソンモービルなどの米国大手石油会社が大幅な増収を達成しているにもかかわらず、ガソリン価格を下げるための米国内での石油増産など取り組みをとっていないと主張し、石油会社を批判外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

バイデン大統領は、石油会社が大幅な増収を達成しているのは、石油会社が新たな取り組みや革新的な取り組みを行った結果ではなく、ロシアのウクライナ侵攻を契機とするエネルギー価格高騰の影響だと指摘し、「戦時中にこのように歴史的な収益を上げている企業は、経営者や株主といった小さな私利私欲を超えて行動する責任がある」と説明した。また、「石油会社は米国への投資を増やしたり、消費者に利益を還元したりすることなく、余った利益を株主や自社株の買い戻しに回していて、役員報酬が急騰している」と述べた上で、「米国の消費者のためにガソリン価格を下げる取り組みを行わないのであれば、石油会社は超過利潤に対する高い税金を払うことになることに加え、そのほかの制限にも直面することになる。私のチームは議会と協力してそのほかの選択肢を検討するつもりだ」と追加措置を示唆している。

バイデン大統領の発言を受けて、米国石油協会(API)のマイク・ソマーズ会長兼最高経営責任者(CEO)は同日付で声明を発表し、「ガソリン価格下落を(バイデン大統領)自身の手柄にし、ガソリン価格上昇の責任を石油会社に転嫁している」として反論外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

ソマーズ氏は「バイデン大統領は本日、米国民が日々必要とする燃料を生産するために世界を相手に競争している米国石油・ガス産業への増税を提案した。ガソリン価格は、石油会社ではなく世界の商品市場が決めるものだ。米国のエネルギーに対する増税は、新たな生産への投資を抑制し増産には逆効果だ。米国の家庭や企業は、中間選挙戦のレトリックではなく、解決策を議員に求めているのだ」と述べ、増税を牽制している。

バイデン政権は高止まりする物価高対策として、生産や物流など幅広い分野に影響を与え得るガソリン価格下落に取り組んできた。政権側では2022年3月以降、石油戦略備蓄(SPR)から1億8,000万バレルの石油を市場に売却してきた(2022年10月20日記事参照)。民間企業側にも、6月に石油大手7社(エクソンモービル、マラソン、バレロ・エナジー、フィリップス66、シェブロン、BP、シェル)に対して、石油・ガス増産を促す書簡を送付していた。一方で、石油大手は政権に反発しており、エクソンモービルやシェブロンは政権側の増産要請に対し、企業側は石油・ガスに関して多大な投資を継続して実施しており、国内生産も増えているなどとして反論していた(2022年6月16日記事6月23日記事参照)。バイデン大統領は10月に、エクソンモービルの高収益を受けて、自身のツイッターで「こんなことを言うのは何だが、株主に利益を還元することと、米国の家庭のために(ガソリン)価格を下げることは同じではない」と批判を展開している(2022年10月31日記事参照)。

(沖本憲司)

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