COP27で日本の最新環境技術を発信、商機を模索

(エジプト、日本)

カイロ発

2022年11月21日

116日から20日までエジプトで開催された国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)において、日本政府はジャパンパビリオンを設け、(1)二酸化炭素(CO2)排出量の削減による気候変動の「緩和」、(2CO2の「活用」、(3)気候変動への「適応」の3つのテーマで、日本企業が保有・開発中の最新の環境技術を発信した(2022年11月8日記事参照)。

「緩和」のテーマでは、パナソニックが太陽電池、水素燃料電池、リチウム電池を組み合わせることで必要電力の100%を再生可能エネルギーで賄う「RE100ソリューション」を展示した。2021年のCOP26でも反響の大きかった技術で、20224月に滋賀県の自社工場に実証施設を設置、より具体的な提案ができるようになったという。JFEエンジニアリングは廃棄物焼却発電施設を紹介した。アジアで既にCO2排出量削減の実績があり、今後他の地域での展開も検討している。また、日揮ホールディングスは昭和電工と、廃プラスチックのリサイクル過程で水素やアンモニアを生成する技術を展示した。廃プラスチックのガス化における、約20年の長期運転、累計100万トン超の実績は世界で唯一だ。日立製作所は脱炭素社会実現に向け、(1)非化石エネルギーの大量導入、(2)カーボン・フリー・モビリティの普及、(3)水素の生産・グリッド技術、(4)炭素/資源循環の4つのアプローチを紹介した。

CO2の「活用」については、大成建設がCO2とカルシウムの化合物および製鉄時の副産物からコンクリートを製造する技術を紹介。通常、コンクリートに用いるセメントの生産時にCO2が排出されるが、本技術によりCO2の排出を大幅に削減したうえで大量のCO2を吸収・吸着してコンクリートを製造し、カーボンネガティブを実現する。

また、東芝はCO2を回収して持続可能な航空燃料(SAF)の原料である一酸化炭素(CO)を生成する技術を展示した。さらに、超電導技術により軽量化・小型化した2メガワット(MW)の高出力モーターを紹介。航空機などに搭載することでエンジンの電動化を可能にする。三菱重工業はCO2の回収・有効利用・貯留(CCUS)のバリューチェーン構築に向けたソリューションを紹介。また、近い将来にゼロエミッション発電を可能にする水素ガスタービンを中心とした、水素製造・発電の取り組みを紹介した。

写真 東芝展示ブース(ジェトロ撮影)

東芝展示ブース(ジェトロ撮影)

写真 三菱重工展示ブース(ジェトロ撮影)

三菱重工展示ブース(ジェトロ撮影)

参加企業はいずれも、来場する各国政府関係者や企業に対する環境技術の発信を通じて、環境分野でのビジネス拡大のチャンスを模索している。日立製作所グローバル環境事業本部の北村理史氏は「当社は環境問題への対応をコストとして捉えるのではなく、ビジネスの成長ドライバーとして考えている。COPの場を通して政府関係者等ハイレベルへのPRを行い、商機をつかめれば」と話した。

(塩川裕子)

(エジプト、日本)

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