8月のGDP成長率、前年同月比マイナス4.1%、自動車製造業の減少幅は縮小

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2022年10月11日

ロシア経済発展省の発表(9月28日)によると、8月の実質GDP成長率(推計値)は前年同月比マイナス4.1%(前月伸び率より0.2ポイント増)となった。8月の経済活動について、同省は前月に続いて農業の伸びに加え、建設需要と鉱業が下支えしたとしている。他方、小売商品売上高と貨物輸送が低調で推移している(添付資料表参照)。

鉱工業生産は前年同月比マイナス0.1%だった。鉱業はガスコンデンセートを含む原油生産(数量ベース、2.1%増)、その他の鉱物採掘、鉱業分野のサービス部門が牽引し、3カ月連続でプラスを維持した。建設業も前月に続き景気を支えた。

貨物輸送では、パイプラインによるガス輸出の減少が続いている。7月27日以降、欧州向けガスパイプライン「ノルドストリーム1」は最大供給量の20%しか供給していなかった(タス通信9月27日)。8月末には3日間の保守点検のため稼働を停止したが、9月2日にガスプロムが再開は未定と発表(2022年9月8日記事参照)、ガス供給は停止したままだ。9月27日には「ノルドストリーム1」を構成する2本のパイプラインの両方と、「ノルドストリーム2」のパイプライン2本のうちの1本に損傷が見つかった。(ロイター通信9月27日)。ガスプロムは10月3日、「ノルドストリーム2」の残る1本を点検した後、監督省庁が承認すれば、ガス輸出は可能だと発表した。しかし、2022年2月からのロシアのウクライナ侵攻を受け、ドイツ政府は「ノルドストリーム2」の稼働開始を見送っている。

パイプライン輸送を除いた貨物輸送の内訳をみると、8月の海上貨物輸送量は前年同月比7.5%増と増加が続いている。他方で、鉄道貨物輸送量は0.2%減と3カ月連続の減少を記録した。

8月の自動車製造業は前年同月比42.9%減(前月伸び率より15.2ポイント増)と、減少幅が徐々に縮小している。調査会社「アフトスタト」(8月30日)によると、8月の自動車市場は緩やかに回復しており、アフトワズが生産するラダの需要を促す政府の融資・補助制度とカーシェアリング用の中国車の購入が市場を支えていると分析した。

小売商品売上高は前年同月比8.8%減(前月伸び率より0.1ポイント減)となったが、一部の業種で売り上げが回復した。サービス業は前年同月比2.5%増、飲食業1.3%増となり、4月以来の増加率だった。8月の実質賃金は未公表だが、7月は3.2%減だった。

ロシアの公式GDP統計は、連邦国家統計局が四半期別、年別に発表している。経済発展省は推計値として月次の成長率を発表している。

(小野塚信)

(ロシア)

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