IMFが中東・北アフリカ地域の2022年成長見通し発表、消費者物価上昇率は14.2%

(中東、アフリカ)

中東アフリカ課

2022年11月07日

IMFは10月31日に発表した「地域経済見通し(中東・中央アジア)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」で、2022年の中東・北アフリカ(MENA)地域(注)の実質GDP成長率予測を5.0%とした(添付資料表参照)。2022年の世界の成長予測3.2%を1.8ポイント上回った(2022年10月12日記事参照)。2023年は世界情勢の悪化の影響を受け、3.6%に減速するとしている。なお、4月の前回発表(2022年5月9日記事参照)からは2022年、2023年とも変更がない。

IMFは2022年のMENA地域経済について、ウクライナ情勢や世界的な金融引き締めの影響があったにもかかわらず、新型コロナウイルス感染拡大による経済状況悪化からの回復が大幅に進展したと述べた。なお、回復状況は国によってばらつきがあり、石油輸出国では、油価の上昇などによって2022年のGDP成長率が5.2%となり、2022年から2026年にかけて合計約1兆ドルの石油収入があると予測している。低所得国では0.8%と予測し、2023年も食料価格の高騰などに起因する課題に直面する可能性を指摘している。

国別に統計をみると、各国とも2022年はプラス成長が予測され、2023年はやや減速するものの、その傾向は変わらない。ただし、成長予測の高い一部の石油輸出国と、低成長が予測される国々(イラン2022年3.0%、ヨルダン同2.4%、モロッコ同0.8%)との間では差がみられる。

MENA地域の消費者物価(年平均)は、2022年は14.2%増と高く、前回発表から0.3ポイントの上方修正となった。2023年は12.4%増の予測となっている。通貨安が進行するトルコ(2022年73.1%増)とイラン(同40.0%増)で特に高い上昇率がみられる。

MENA地域の経常収支(対GDP比)は、2022年は7.4%、2023年は5.9%で前年比1.5ポイントのマイナスと予測している。2022年については、石油輸出国で大きな増加がみられる(クウェート29.1%、カタール21.2%、イラク16.3%)が、ヨルダン、トルコ、モロッコなどの資源輸入国では減少となっている。

(注)IMFの定義では、MENAはアルジェリア、バーレーン、ジブチ、エジプト、イラン、イラク、ヨルダン、クウェート、レバノン、リビア、モーリタニア、モロッコ、オマーン、カタール、サウジアラビア、ソマリア、スーダン、シリア、チュニジア、アラブ首長国連邦(UAE)、ヨルダン川西岸地区およびガザ地区、イエメンの22カ国・地域。イスラエルとトルコは含まない。

(久保田夏帆)

(中東、アフリカ)

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