中国系企業によるドイツ半導体工場の買収、ドイツ政府が不許可に

(ドイツ、中国)

ベルリン発

2022年11月11日

ドイツ連邦政府は11月9日、中国系企業によるドイツの半導体関連企業の買収を不許可とする閣議決定を行った外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。ドイツのエルモス・セミコンダクターの西部ドルトムントにある半導体工場をサイレックス・マイクロシステムズが買収する投資計画についての審査(注)したものだ。サイレックス・マイクロシステムズはスウェーデンの同業の半導体メーカーで、親会社は中国の賽微電子(サイ・マイクロエレクトロニクス)。

経済・気候保護省によると、この買収はドイツの秩序と安全保障を脅かす可能性があると判断。さらに、条件付きで買収を承認するなどの穏便な措置ではリスクを排除できないため不許可としたとの見解を示した。

ロベルト・ハーベック経済・気候保護相は「重要インフラや、EU域外からの買い手に技術が流出する危険性がある企業の買収の場合には、細心の注意を払う必要がある。特に半導体分野では、ドイツと欧州の技術的・経済的な主権を守ることが重要だ。もちろん、ドイツはこれまでも、そしてこれからも開かれた投資先であり続けるが、同時に無思慮でいるわけにはいかない」と述べた。

また、経済紙「ハンデルスブラット」(11月9日)によると、同日の閣議では、ミュンヘンを本拠地とする半導体産業向け熱管理ソリューション企業ERSエレクトロニックの中国企業による買収案件も審査し、エルモスの案件と同様に、ドイツの秩序と安全保障を脅かす買収との判断で不許可としたもようだ。経済・気候保護省は、企業秘密に関わるとして、当該事案については情報を開示していない。

投資審査厳格化への動き活発に

ドイツ連立与党の一角を担う自由民主党(FDP)は11月7日、投資審査の厳格化などを求めるポジションペーパーを発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。同ペーパーでは、ハンブルク港への中国国営企業の出資(2022年11月9日記事参照)や、ロシアによるウクライナ侵攻での重要インフラに対する攻撃などといった状況を踏まえ、重要インフラの技術保護のみならず、地政学的影響からも保護する重要性が顕在化したと指摘。ドイツの重要インフラ保護措置の転換や、権威主義国家による重要インフラへの投資に対応する新たな戦略が必要だと主張している。

(注)ドイツでは、対外経済法と同法施行令により、EUと欧州自由貿易連合(EFTA)加盟国以外の外国企業がドイツ企業に一定の出資や買収を行う場合、国の秩序と安全保障を脅かすか否かの審査が必要となることがある。詳細はジェトロのドイツ制度情報(外資に関する規制)、審査手続きについては経済・気候保護省ウェブサイトのInvestitionsprüfung外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(中村容子)

(ドイツ、中国)

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