中銀、政策金利を2.75%へ4会合連続利上げ

(マレーシア)

クアラルンプール発

2022年11月04日

マレーシア中央銀行は11月3日の金融政策会合(MPC)で、政策金利を0.25ポイント引き上げて2.75%とすることを決定した(中央銀行プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。4年ぶりに金利引き上げを行った2022年5月以降、4回連続で金融引き締めに動いた(2022年9月12日記事参照)。中銀はプレスリリースで、国内経済の成長が継続していることや物価高への懸念を背景に利上げを決定したと説明した。

主要国が相次いで金利を引き上げる中、マレーシアも追随して連続利上げを行うかどうかが焦点になっていた。ロイターが10月25~30日に実施した事前調査では、高インフレが続いていることや、対ドルで下落が進む通貨リンギを下支えする必要があることから、エコノミスト27人のうち25人が利上げを予想していた。

中銀は世界経済について、コスト上昇圧力や中国のゼロコロナ政策といった下振れリスクにさらされ、諸国での国境再開による回復効果を相殺していると分析。サプライチェーン寸断は一定程度改善したものの、需要の増加、労働市場の逼迫、一次産品価格の上昇により、インフレ圧力は予想以上に高まったと評価した。今後の見通しとして、多くの中銀がインフレ圧力を管理するために金利を引き上げると予想しつつ、マレーシア中銀としては、金融政策の調整は引き続き慎重かつ段階的に行うと強調した。

マレーシア経済については、好調な内需を背景に2022年第3四半期(7~9月)の経済活動が活発化しており、今後も内需が成長を牽引すると見通している。また、国境再開に伴う観光部門の活性化にも期待を示した。世界の金融・為替市場のボラティリティー(変動性)の高まりがマレーシアの経済成長を妨げることはないとしつつも、世界経済の成長鈍化や、主要国の金融引き締めによって金融市場がリスク回避姿勢を強めていること、地政学的な対立の一層の激化、サプライチェーン混乱の深刻化が下振れリスクと分析した。インフレ率については、2022年第3四半期にピークアウトした可能性が高いが、2023年以降も高止まりすると予測した。

先述のロイター調査では、9割のエコノミストが、2023年第1四半期(1~3月)に再度利上げが行われると見込んでいる。例えば、地場メイバンク・インベストメント・バンクは「中銀は2023年初めにも0.25ポイントの追加利上げを行い、第1四半期には新型コロナウイルス感染拡大前の政策金利(3.0%)に回帰する」と予想。インフレ率の継続的な上昇、雇用情勢の改善、2022年第3四半期に堅調な経済成長が見込まれる点などを根拠に挙げた。次回のMPCは2023年1月18~19日に予定されている。

(吾郷伊都子)

(マレーシア)

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