マレーシア中銀、金利を2.50%に、3会合連続の利上げ

(マレーシア)

クアラルンプール発

2022年09月12日

マレーシア中央銀行は98日の金融政策会合(MPC)で、政策金利を0.25ポイント再度引き上げ2.50%とすることを決定した(中央銀行プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。5月と7月に続き、3会合続けての引き上げとなった(2022年5月13日記事2022年7月8日記事参照)。

ロイターが事前に実施した調査では、20人のうち19人が利上げを予想しており、当初想定どおりの結果となった。また、米国調査会社ムーディーズ・アナリティクスは本決定に先立つ95日、中銀が経済回復に伴うインフレを緩和させるため、金利を引き上げると予想していた。これにより対外的には、米国連邦準備制度理事会(FRB)による積極利上げで対米ドル相場が下落した、自国通貨リンギのてこ入れとなると分析していた。

中銀はプレスリリースで、国内経済のプラス成長が引き続き見込まれていることから、利上げを決めたと説明。今後の見通しとしては、インフレ圧力低減のため、諸外国でも金利引き上げが行われると予想。とりわけ、米国の積極的な金融政策が金融市場のボラティリティー(変動性)を高め、リンギを含む主要通貨にも影響を与えていると指摘した。中国の新型コロナウイルス封じ込め措置、コスト上昇圧力、欧州のエネルギー危機なども、今後の世界経済における下振れリスクだと指摘した。

マレーシア経済について中銀は、新型コロナのエンデミック段階への移行が第2四半期の経済成長を後押ししたと評価(2022年8月26日記事参照)。複数の統計が、民間部門の支出や労働市場の堅調さを示しているとした。外需の減速や金融・為替市場のボラティリティーの高まりは、マレーシア経済の成長を阻害することはないと見通す一方で、世界経済の回復が予測より鈍化する可能性や地政学的リスクの激化、サプライチェーン混乱などが、引き続きリスクとして存在するとした。通年のコアインフレ率については、前回会合時と同様に2.03.0%と予測した。

(吾郷伊都子)

(マレーシア)

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