バイデン米政権、低所得世帯向けに135億ドルの光熱費支援を発表

(米国)

ニューヨーク発

2022年11月04日

米国のバイデン政権は11月2日、低所得世帯に対して、今冬に135億ドルの光熱費支援を行うと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。エネルギー価格の高騰により、米国では、暖房費が前冬季より3割程度上昇すると予想されており(2022年10月14日記事参照)、低所得世帯を中心に一般家庭に大きな負担がかかると懸念されている。

135億ドルのうち45億ドルは、保健福祉省の「低所得世帯エネルギー支援プログラム(LIHEAP)」に対する追加支出となる。LIHEAPは家庭の暖房費や未払いの光熱費、暖房機器の修理費などに直接支援を提供するもので、過去1年間に530万世帯が恩恵を受けている。全米エネルギー支援協会によると、2022年8月時点で全世帯の6分の1が光熱費を滞納しており、滞納額は約161億ドルに上る。今回の支援を通じて、こうした状況の緩和が期待される。

また、90億ドルは2022年8月に成立したインフレ削減法(2022年8月17日記事参照)から手当てされ、ヒートポンプや断熱材の設置など住宅の耐候化について、最大160万世帯を支援する。ヒートポンプに関しては、インフレ削減法を通じて、国内での製造支援に2億5,000万ドルの予算が計上されており、製造と設置の両面で支援することになる。

11月8日に投開票が行われる中間選挙について、「物価上昇・インフレ」が有権者にとって最大の関心事項となっている(2022年11月2日記事参照)。生活に不可欠な光熱費の上昇は特に低所得世帯の不満を高めやすい。会見したカマラ・ハリス副大統領は「(今回の一連の支援により)1世帯当たり800ドル以上の還付を受けることができる」と具体的な数値を挙げ、バイデン政権が光熱費支援に注力していることを強調した。

(宮野慶太)

(米国)

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