米国中間選挙まで残り数日、上院選では4州がカギ、下院選では共和党優勢

(米国)

米州課

2022年11月02日

米国中間選挙の投開票が、11月8日に実施される。中間選挙は現政権に対する「通信簿」ともいわれており、現時点でのポイントや主な見通しについて、以下のとおりまとめた。

最大のポイントは、民主党が連邦上院で多数派を死守できるか否かだ。連邦上院(100議席、任期6年)のうち、改選は35議席。ウェブサイト270toWin外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに掲載されている有力な選挙予測のコンセンサス予想(10月27日時点)によると、ジョージア州およびネバダ州の上院選で接戦となっている。当該2議席を除く、改選後の獲得議席予測は、民主党49議席、共和党49議席だ。また、ペンシルベニア州とアリゾナ州では、民主党候補がわずかに優勢とみられるものの、共和党候補との差は小さい。ジョージア州では人工妊娠中絶、ネバダ州では経済状況、ペンシルベニア州では民主党候補の健康不安、アリゾナ州では南部国境からの移民流入などに、焦点が当たっている。

連邦下院(435議席、任期2年)では、共和党が多数派を奪取する見通しだ。接戦の10議席を除く、改選後の獲得議席予測(10月31日時点)は、民主党202議席、共和党223議席となっている。民主党が全ての接戦区で勝利したとしても、共和党の獲得議席数には及ばない公算だ。

ハーバード大学と調査会社ハリス・インサイツ&アナリティクスが10月12~13日に実施した世論調査外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、有権者の関心事項として、「物価上昇・インフレ」(37%)が最も高く、「経済・雇用」(29%)、「移民」(23%)、「犯罪・薬物」(18%)が続いている。消費者物価指数が前年同月比8~9%上昇する状況にあって、経済政策に対する期待が有権者の投票行動に大きな影響を及ぼすとみられる。また、「移民」「犯罪・薬物」「人工妊娠中絶」は、有権者の暮らしに直結し得る課題であり、投票率を引き上げる要因になる可能性がある。

トランプ前大統領を支持する共和党新人候補の動向にも注目が集まる。選挙の結果は、同氏の共和党内での立場にも影響を及ぼすとみられる。各種報道によると、トランプ派の新人候補は上院選に11人、下院選に25人立候補しており、10月末時点で「当選確実」「優勢」「やや優勢」とされる候補が上院選で7人、下院選で20人となっている。

各州の知事選については、全体的にみれば、改選後も共和党の州知事が多数となる見通しだ。オレゴン州、ネバダ州、アリゾナ州、カンザス州、ウィスコンシン州で、両党候補に対する支持が拮抗(きっこう)している。

中間選挙後の政権運営について、共和党は、連邦下院の多数派を奪取した場合、民主党への敵対を強めると主張している。また、同党が連邦上院で多数派となれば、バイデン政権による政治任用や裁判官の指名が阻止される可能性が高まる。ジェトロでは、今回の中間選挙に関するポイントや見通しについてまとめた資料をウェブページに公開している。

(片岡一生)

(米国)

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