中銀、政策金利を0.75ポイント引き上げ10.00%に

(メキシコ)

メキシコ発

2022年11月16日

メキシコ中央銀行は1110日、政策金利を75ベーシスポイント(bp1bp0.01%)引き上げ、10.00%とすることを発表した。金融政策決定会合で政策金利が引き上げられるのは12回連続だが、今回の利上げについては5人の委員のうち4人が75bpを支持し、1人は50bpを主張した。米国連邦準備制度理事会(FRB)が112日に政策金利の0.75ポイント引き上げを決定したことに足並みをそろえたかたちだ。

中銀はプレスリリースPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で、基礎物資の価格圧力やサプライチェーンの混乱が緩和される兆しにもかかわらず、世界的なインフレは引き続き上昇するリスクがあると述べている。また、グローバルリスクとして、新型コロナウイルスのパンデミック、インフレ圧力の長期化、地政学的な緊張の高まり、各国の金融・財政の引き締め政策などを挙げている。

中銀は、国内の10月のインフレ率が8.41%と緩やかな減少を見せたが、コアインフレ率がパンデミックとウクライナ戦争の累積的な圧力によって8.42%となったと述べた(2022年11月16日記事参照)。中銀はこのインフレ率を受け、短期的な見通しをやや下方修正し、コアインフレ率を上方修正した上で、2024年第3四半期(79月)には目標の3%に収束すると予想している。しかし、この予測にはリスクがあるとし、上振れ要因として、(1)高水準のコアインフレ率継続、(2)パンデミックによる外的インフレ圧力、(3)地政学的な対立による農産物やエネルギー価格上昇圧力、(4)為替レートの下落、(5)コストアップの圧力としている。下振れ要因としては、(1)予想を上回る世界経済の減速、(2)地政学的対立の緩和、(3)サプライチェーンの改善、(4)コスト上昇圧力の転嫁縮小、(5)食料価格高騰に対する連邦政府の政策が予想より効果を発揮することなどを挙げている。

今後のインフレ率増減は不透明

アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)大統領は119日の記者会見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで「インフレ率は少し下がっており、重要なことは既に減少傾向にあることだ」と述べた。しかし、スコティアバンクの金融マーケット・マクロアナリアスト副代表のルイサ・バジェ氏は「ウクライナ戦争の状況が改善し、中国が新型コロナウイルスの変異株がでるたびに封鎖をすることを止めれば、インフレ率の低下につながり、政策金利をより早く下げるようになるだろうが、間違いなく現状は非常に不透明だ」と述べた(「レフォルマ」紙1110日)。

(阿部眞弘)

(メキシコ)

ビジネス短信 29e7e2dc64ed3e8b