第3四半期のGDP成長率、前年同期比で7期連続プラス成長も、1.7%に鈍化

(ペルー)

リマ発

2022年11月25日

ペルー国家統計情報庁(INEI)は11月22日、2022年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率は前年同期比1.7%と発表した。前期から1.6ポイント低下したが、2021年第1四半期(1~3月)から7期連続のプラス成長を達成した(添付資料表1参照)。INEIは成長の大きな要因について、前期(2022年8月26日記事参照)に引き続いて雇用増加(前年同期比3.9%増、新型コロナウイルスのパンデミック前の2019年同期比でも2.5%増)と収入増加(前年同期比8.7%増)による内需の拡大(同3.7%増)にあるとみている。一方、今期の成長率が鈍化した理由は、内需で民間消費が2021年第2四半期(4~6月)をピークに成長率鈍化が続いている上、財貨サービスの輸出が前期の8.8%増から1.7%増に低下したためとしている。

内需拡大の下支えとなった民間消費では、食品を主な支出項目として、GDPの65.6%を占める1,514億6,800万ソル(約5兆4,528億円、1ソル=約36円)を記録。前年同期比3.0%成長した。一方で、政府消費は医療費支出の減少(16.4%減)により2.5%減となっている。

総固定資本形成では、建設分野(3.0%増)と機械設備投資(0.1%増)がそれぞれ増加し、前年同期比で1.9%成長している。公共投資は地方自治体によるインフラ整備を中心に12.3%成長したが、国営企業による投資は石油公社ペトロペルーを中心に15.1%減少している。民間投資は鉱業分野(6.4%減)を中心に0.5%の減少を記録した。

財貨・サービスの輸出は、天然ガス(76.1%増)、コーヒー生豆(39.8%増)、果実(17.6%増)、精銅(10.4%増)、アボカド(7.7%増)、銅鉱(6.6%増)、魚粉(4.9%増)を中心に。全体で1.8%の増加を記録。主な輸出先国は中国(全体の26.2%)、米国(16.5%)、カナダ(4.7%)、インド(4.5%)、日本(4.3%)だった。

財貨・サービスの輸入では、肥料(54.4%増)、自動車(38.7%増)、ディーゼル燃料(21.4%増)、トラック・バス・バン(18.4%増)を中心に9.0%増加したが、産業向けの機械輸入は21.4%減少した。

経済活動別では、その他サービス(3.9%増)、レストラン・ホテル(13.2%増)、運輸(輸送・倉庫・郵便を含む、8.7%増)などが成長に寄与。一方、鉱業(4.2%減)、金融サービス(6.5%減)、通信(3.0%減)がそれぞれ低下し、全体の伸びの足かせとなっている。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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