JERA、燃料アンモニアの輸送に向け日本郵船、商船三井と協業

(日本、米国)

ヒューストン発

2022年11月28日

日本の発電会社JERAは11月21日、海運大手の日本郵船および商船三井と、燃料アンモニアの輸送に向けた協業に関する覚書を両社とそれぞれ締結したと発表した。JERAは2022年2月に、燃料アンモニアの製造プロジェクトへの参画機会も含めた調達に関する国際入札の実施を発表しており、本協業は、米国・日本間も含めたグローバルな燃料アンモニアのサプライチェーンを構築する上で重要な取り組みだとしている。

アンモニアは主に肥料や化学製品の製造に使用されるが、燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出しないことから、世界の脱炭素化に伴うクリーン燃料としても今後の市場拡大が期待されている。JERAは2022年9月に、ドイツのユニパー・グローバル・コモディティーズおよび同米国子会社と、液化天然ガス(LNG)および米国産クリーンアンモニアの調達・販売に向けた協業に関する覚書を締結したと発表していた(2022年9月6日記事参照)。

JERAは、2050年に国内外の事業から排出されるCO2の実質ゼロを目指す「JERAゼロエミッション2050」を掲げ、火力発電についてはよりグリーンな燃料の導入を進め、発電時にCO2を排出しないアンモニアや水素を燃料とする「ゼロエミッション火力」を追求している。今回発表によると、JERAが保有する2020年代後半の商用運転開始を目指す愛知県碧南市の碧南火力発電所における燃料アンモニアの利用に向けて、輸送方法を確立する目的だとしている。覚書では、大型アンモニア輸送船の開発、安全な輸送体制の構築などを共同で検討し、具体的には次の項目について検討するとしている。

  1. 国内火力発電所および受け入れ基地に適した燃料アンモニア輸送船の開発
  2. 燃料アンモニア輸送・受け入れ体制の構築
  3. 船舶燃料としてアンモニアを使用した推進機関の実装および航行
  4. 燃料アンモニア受入に関するルール形成に向けた関係各所への働き掛け

なお、JERAは、上記燃料アンモニア輸送に向けた検討のほかにも、米国でエネルギーの安定供給や脱炭素化に向けた取り組みを進めており、2022年5月にマサチューセッツ州とメーン州での火力発電事業の権益取得を発表した(2022年5月16日記事参照)。10月には、クリーンエネルギー供給基盤構築に向け、米国インタートラスト・テクノロジーズに出資したと発表した(2022年10月13日記事参照)。11月には、米国シェブロンとアジア太平洋地域と米国の脱炭素分野などで提携したと発表した(2022年11月9日記事参照)。

(沖本憲司)

(日本、米国)

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