防疫当局や共産党メディアがダイナミックゼロコロナの堅持をあらためて強調

(中国)

北京発

2022年10月14日

国家衛生健康委員会の米鋒報道官は10月13日の記者会見において、中国国内の新型コロナウイルス感染状況について、集団感染が「多くの地点で広範囲にわたり頻繁に」発生しており、依然として厳しく複雑だと指摘した上で、「ダイナミックゼロコロナ」(注1)という全体方針を揺るぎなく堅持すべきと述べた。同じく会見した専門家の呉尊友氏も、これまで中国が多くの感染拡大を抑え込んできた事実が、ダイナミックゼロコロナが科学的かつ有効で中国の実情に合致していることを証明しており、これを断固堅持しなければならないと述べた。

中国メディアでは、ダイナミックゼロコロナ支持の主張が相次いで報じられている。中国共産党機関紙の人民日報は、ダイナミックゼロコロナを支持する評論員の文章を10月10日から12日まで3日連続で掲載した。論説の中では、多くの高齢者がワクチン接種を完了していない点(注2)などを指摘し、防疫規制を緩和すれば短期間に多くの人々が感染し、多数の重症者・死者を生み、医療資源を逼迫させると解説している。また、感染者が増えるほどウイルス変異の機会も増えるとみられることから、防疫規制の緩和は変異のリスクを大幅に高めることになるとした。さらに、中国にはダイナミックゼロコロナを達成する能力があり、初期の段階で感染拡大の抑え込みに失敗したために「ウィズコロナ」を選択せざるをえなかった欧米とは異なると主張している(注3)。

なお、専門家の梁万年氏(注4)は10月12日、CCTVによるインタビューに対し、感染拡大に対する緊急管理と対応について、(1)ウイルスや疾病に対する理解とウイルスの毒性や病原性、(2)社会の抵抗能力、特に医療システムの能力、(3)公衆衛生的な介入措置とのバランスを取るべきと指摘した。現状では、医療システムの抵抗力がウイルスに対してバランスを取れないため公衆衛生的介入措置が必須であり、もし厳格な防疫規制をやめた場合、医療資源の逼迫が人々の恐怖心理をあおり、社会経済により大きな打撃を与えるとしている。また、ウイルス変異の不確実性や特効薬の不在、ワクチンの感染予防効果の低さなどを挙げ、生産や生活を通常に戻す時期を現時点で明確に示すことはできないとの見方を示している(「第一財経」10月13日)。

(注1)中国政府当局や中国の防疫対応に携わる専門家の説明によると、「ダイナミックゼロコロナ」とは国内の「感染者の発生をゼロにする」ものではなく、感染者の能動的かつ迅速な発見を行い、感染者に対して速やかに疫学的調査、診断、隔離、治療を行い、コミュニティー(社区)内で持続的に感染が広がることを防ぐ防疫戦略を指す。

(注2)同論説によると、9月28日時点で中国の60歳以上の高齢者のワクチン接種率は86.26%となっている。

(注3)このほか、中国疾病予防コントロール局はダイナミックゼロコロナについて、中国全体としてみれば最小の社会的コストかつ最短の時間で感染拡大を抑え込むものだと説明している(2022年9月14日記事参照)。

(注4)国家衛生健康委員会の新型コロナ感染拡大対応処理グループの専門家グループ長を務めている。

(小宮昇平)

(中国)

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