中国防疫当局、ダイナミックゼロコロナの社会的コストと効果について説明

(中国)

北京発

2022年09月14日

中国疾病予防コントロール局は9月7日の記者会見において、中国が新型コロナウイルス感染拡大の予防抑制のために取っている「ダイナミックゼロコロナ」政策(注1)の社会的コストと効果について説明し、同政策の意義をあらためて強調した。中国の新型コロナワクチン接種率が90%を超えている中(注2)で、同政策の変更を検討しているかとのメディアからの質問に対して回答したもの。

同局は、最小のコストで最大の予防・抑制効果を挙げ、感染拡大が経済と社会の発展に与える影響を最小限に抑えるよう努力することが中央政府の一貫した要求で、「ダイナミックゼロコロナ」政策は、まさに最小の社会的コストかつ最短の時間で感染拡大を抑え込むものだと説明した。

その上で、新型コロナウイルスの防疫政策のコストを評価するためには、全国を1つの対象とみなして、全国レベルでの経済的コスト、社会的コスト、国民生活上のコスト、健康上のコストを算出する必要があると指摘した。全国レベルでみれば、たとえ感染が拡大している地域において局所的に厳格な防疫措置が取られたとしても、こうした措置を取ることによって、それ以外の全国の大部分の地域および国民の通常の生産活動や生活、サプライチェーンの安定が保たれているのだと指摘し、「ダイナミックゼロコロナ」政策こそが最も経済的で、最も効果的な政策だと、その意義を強調した。

そのほか、同局は、現在、世界的な感染拡大が依然として高水準にあり、また、ウイルスが絶えず変異していることから、新型コロナウイルスおよびそれがもたらす疾病に対する理解がまだ深まっていない段階にあり、不確実な点が多く、感染拡大がもたらすリスクや脅威が依然として存在すると指摘した。

なお、9月8日に国務院共同防疫メカニズムは、中秋節(9月10~12日)、国慶節(10月1~7日)の休暇を含む10月31日までの期間に実施する防疫措置について発表したが、同発表においても、防疫措置の前提として「ダイナミックゼロコロナ」という全体方針を揺らぐことなく堅持するとしている(2022年9月12日記事参照)。

(注1)中国政府当局や中国の防疫対応に携わる専門家の説明によると、「ダイナミックゼロコロナ」とは国内の「感染者の発生をゼロにする」ものではなく、感染者の能動的かつ迅速な発見を行い、感染者に対して速やかに疫学的調査、診断、隔離、治療を行い、コミュニティー(社区)内で持続的に感染が広がることを防ぐ防疫戦略を指す。

(注2)9月8日に国務院共同防疫メカニズムが行った記者会見での国家衛生健康委員会の説明によると、9月7日時点で全国の新型コロナワクチン接種完了者は12億7,056万6,000人で総人口の90.1%に達している。

(小宮昇平)

(中国)

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