カナダのアルガブラ運輸相、新たなデジタルインフラ・イニシアチブの立ち上げを表明

(カナダ)

米州課

2022年10月20日

カナダのオマール・アルガブラ運輸相は10月14日、カナダのサプライチェーン強化のため、新たなデジタルインフラ・イニシアチブ「産業主導型デジタル化推進イニシアチブ(Advancing Industry-Driven Digitalization of Canada’s Supply Chain initiative)」を立ち上げると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2022年度予算において、デジタルソリューションの開発およびカナダのサプライチェーンの最適化のため、1億3,600万カナダ・ドル(約148億2,400万円、Cドル、1Cドル=約109円)が計上される。

発表によれば、本イニシアチブはカナダの「国家サプライチェーン戦略」のカギとなり、以下の取り組みを通じて、カナダのサプライチェーンの効率と強靭(きょうじん)性の向上を図る。

  • データや分析結果をリアルタイムに収集・共有することでボトルネックの解消や混雑を緩和し、サプライチェーンの分断への強靭性を高め、輸送活動の計画と調整を容易にする。
  • 特にデータ収集の調整分野において業界主導のアプローチを支援し、運送業者、荷送人、政府の輸送ネットワークの可視性を改善する。
  • 既存ネットワークの一層の最適化を進め、インフラ投資の計画性向上のため、エビデンスに基づく意思決定を支援する。
  • パシフィック・ゲートウエーやウィンザー・ケベック貿易回廊など、カナダ全土のゲートウエーおよび貿易回廊を最適化するため、産業界と協力する。

カナダ運輸省はこのほか、カナダ国内のデジタルインフラ強化による、輸送サプライチェーンの効率・信頼性向上プロジェクトの支援の一環として、国家貿易回廊基金(National Trade Corridors Fund)の下で新たな投資案件の募集をまもなく開始することも発表した。世界最長の太平洋側沿岸線を有するカナダ国土のゲートウエーをより効果的に活用することは重要かつ喫緊の課題だとして、カナダ運輸省は鉄道、荷主、運送業者、労働従事者、バンクーバー・フレイザー港湾局、テクノロジー産業からサプライチェーンに関するリーダーらを招き、デジタルソリューションの開発や実装を進める。これらを通じてカナダ政府は、重要な輸送ネットワークとサプライチェーンの競争力を維持し、貿易相手国としてカナダが選ばれるよう、サプライチェーンにおける主要なパートナーと引き続き連携していくとしている。

アルガブラ運輸相は「サプライチェーンの強靭性、効率性、信頼性は、カナダ政府にとって優先事項だ。だからこそ、本日の発表は、カナダの人々が必需品や重要物資にアクセスできるようにするために非常に重要なものだ。われわれは、カナダのサプライチェーンに、将来にわたって効率的で強靭なデジタルインフラを備えることが可能であり、このことは力強い経済成長にとって生命線ともなるものだ」と述べている。

サプライチェーン強化に関し、カナダ政府は、新型コロナ禍と気象災害による輸送の混乱を経て2022年1月に開かれた「全国サプライチェーンサミット」でタスクフォースを設立しており、同タスクフォース作成の最終報告書が10月6日に公開されたばかりだ(2022年10月6日記事参照)。10月13日には、サプライチェーンにおける諸規制の合理化ならびに官僚主義の低減に向けた取り組みとして、5 年間で 1,700 万Cドルを投じる計画を発表(2022年10月19日記事参照)するなど、サプライチェーンの強靭化に力を入れている。

(高山さわ)

(カナダ)

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