カナダのアルガブラ運輸相、サプライチェーン対策の運輸分野の取り組み公表

(カナダ)

米州課

2022年10月19日

カナダのオマール・アルガブラ運輸相は10月13日、同国政府がサプライチェーン全体における諸規制の合理化や、官僚主義の低減に向けた取り組みとして、5年間で1,700万カナダ・ドル(約18億5,300万円、Cドル、1Cドル=約109円)を投じる計画を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

今回の発表は10月6日にリリースした「全国サプライチェーンタスクフォース」の最終レポートで言及している提言事項、特に輸送規制の現代化に関する提言の初期対応となる。

2022年度は鉄道や海上、航空の輸送モードがシームレスに連携して商品出荷を容易にするための幾つかの新規のイニシアチブに予算が計上されている。イニシアチブの例として、既に開始されたものを含め、ニュースリリースでは以下を示している。

  • カナダ運輸法の改正により、運輸省が各輸送モードの運輸業者にデジタルサービスを提供できるようにし、時間とコストの節約を図る。
  • 船舶の入港、出港、停泊に関する全利害関係者間のデジタル情報交換を可能にする統一システム「マリタイム・シングル・ウインドー(Maritime Single Window:MSW)(注1)」の整備を進める。
  • 業界と協力して、道路、鉄道、空路を介した危険物の輸送の事務処理負担を軽減し、電子出荷書類の利用に移行できるアプローチを開発する。
  • サプライチェーンを通じて航空貨物のセキュリティーを向上させるための「プリロード航空貨物ターゲティング(Pre-load Air Cargo Targeting : PACT)」(注2)の本格的運用を開始する。

「全国サプライチェーンタスクフォース」の最終報告書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)では、「行動、協力、変革」というタイトルに見られるとおり、この3つをカナダのサプライチェーン改善の包括的なテーマとして掲げ、合計21の行動指針を推奨している。主要なものとして、(1)港湾混雑の緩和、(2)労働力不足と従業員の定着化への取り組み、(3)連邦政府の関連活動を統合する連邦サプライチェーン・オフィスの設立、(4)回廊、国境通過、ゲートウエーのサプライチェーンの混乱からの保護、(5)国家輸送サプライチェーン戦略の策定、(6)規制、政策、プロセスの相互承認に向けた米国や州・準州との関与を挙げている(2022年10月11日記事参照

(注1)国交省国土技術政策総合研究所によると、マリタイム・シングル・ウインドーとは、船舶入出港に関する港湾関連行政手続を対象とした電子的なワンストップ窓口を指す。近年、世界的にMSWの構築への取り組みが進められている。

(注2)貨物積載前に事前に航空貨物情報を提供することで、管理当局が国家安全保障上や航空安全保障上の脅威の兆候に関するリスク評価を実施することが可能となる仕組み。2012年にパイロット運用を開始。

(高山さわ)

(カナダ)

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