TIFFCOMとジェトロが16カ国25社の海外バイヤー招き映像商談会開催

(日本、世界)

デジタルマーケティング課

2022年10月25日

ジェトロは10月3~7日、アジアを代表するコンテンツマーケット「TIFFCOM外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」と連携し、「TIFFCOM×JETRO映像コンテンツ・オンライン商談会」を開催した。16カ国から25社の海外バイヤーが参加し、約200件の商談が実施された。近年、映像コンテンツ市場において急速に存在感を増している海外のOTTサービス(注1)事業者などとの商談も活発に行われた。

海外バイヤーとして参加したのは、OTT事業者のほか、映像制作会社や映画配給会社、放送事業者、映画祭の企画・運営事業者、キャラクターやブランドのライセンス事業者などだ。商談は多岐にわたり、実写、アニメ映画、テレビシリーズに係る劇場配給やテレビ放送、OTTプラットフォームでの配信、映画祭での上映に関するものや、製作中の作品への投資など共同製作を目的とした商談もあった。

共同製作パートナーを探す目的で商談会に参加した企業の担当者は、2022年3月にジェトロが実施したアニメコンテンツ・オンライン商談会(2022年3月28日記事参照)に引き続き参加し、「前回の商談会参加経験を生かし、相手の価値観を理解しながら作品のセールスポイントを言語化することを意識して商談に臨んだ。海外バイヤーとは、今後も展示会でのコミュニケーションを継続して関係を構築していきたい」と語った。

今回の商談会には、米国、インド、タイ、ベトナム、マレーシア、スペインから10社のOTT事業者が参加した。プライスウォーターハウスクーパース(PwC)によると、2021年におけるOTTの映像コンテンツの世界収益は前年から22.8%増の791億ドルだった。2026年まで年平均で7.6%の成長が予想され、同年の収益は1,141億ドルになると見込まれている。商談会では、海外バイヤーがOTTプラットフォームの配信地域や対象コンテンツ、顧客ベース、価格モデルなどを説明し、日本企業が作品の配信や今後の連携を検討するなど、活発な議論が行われた。

OTT事業者との契約にあたっては、OTT事業者がフラットフィー(注2)ではなく、ミニマムギャランティ(注3)やレベニューシェア(注4)の契約方式を提案する場合が多い。日本の事業者が、このようなビジネスモデルで事業を行う海外バイヤーとの商談に臨む際、相手に応じた契約交渉を進めることができるよう、ジェトロは、映像コンテンツ分野の契約交渉についてのセミナーを10月31日に実施する予定だ。

(注1)「Over The Top(オーバー・ザ・トップ)」の頭文字を取った略語。通信事業者やインターネットサービスプロバイダー(ISP)に頼らず、インターネットを通じて映像や音声、SNSなどのコンテンツを提供するサービスを指す。

(注2)作品の権利を一括支払いで獲得するもの。

(注3)最低保証。売り上げとは無関係に、ライセンシーがライセンサーに対して支払う必要のある、知的財産権を使用する対価としてのロイヤルティー。

(注4)収益分配。収入拡大に応じて一定割合がライセンサーに支払われる。

(江口紗萌、田中佳恵)

(日本、世界)

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