台北で隔離検疫免除後初の展示会「イノテック」開催

(台湾、日本)

中国北アジア課

2022年10月17日

台湾の台北市で10月13〜15日、イノベーションによって開発された技術と製品を集めた台湾創新技術博覧会(Taiwan Innotech Expo)が開催された。10月13日から3日間の在宅検疫が撤廃されてから(2022年9月29日記事参照)、初の展示会となった。

同博覧会には18カ国から69社が出展し、600を超える新技術が展示された。また、初の半導体専門エリアが設けられ、半導体受託製造の世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)やメディアテック、日月光(ASE)といった台湾を代表する半導体企業に加え、フラッシュメモリーコントローラ大手の群聯電子(PHISON)や車載用ディスプレードライバーIC世界シェア1位の奇景光電(Himax)などが出展した。

日本からは、半導体チップや人工知能(AI)活用システムなどの製品を取り扱う9社(うちスタートアップ6社)が日本台湾交流協会が取りまとめるジャパンブースに出展した。非接触タッチパネルのシステム「aeroTAP」を開発・販売するネクステッジテクノロジー社(本社:茨城県つくば市)は「製品の性質上、オンラインのデモのみではうまく伝わらないことがあり、実際に製品の使用感を体験してもらうことが大事だ。日本からも近く、リアルで参加できる台湾の展示会を今後も活用したい。(新型コロナウイルス対策の)水際規制が緩和され、今後はビジネスもより進めやすくなる」とコメントした。また、日本の来場者の中には、当日空港から展示会場に直接駆けつけたという人もいた。空港での入境手続きは混雑もなく非常にスムーズだったという。

このほか、日本台湾交流協会は13日に会場で、台湾の工業技術研究院(ITRI)と共催で「日台革新技術交流フォーラム〜日台エネルギーの技術開発と活用について〜」を開催。同協会台北事務所の横地晃副代表はセミナー冒頭のあいさつで「2050年のカーボンニュートラル達成に向けて、水素エネルギーの研究開発が日台の新たな技術協力分野に発展することに大いに期待する」と述べた。

セミナーでは、九州大学水素エネルギー国際研究センターの林灯教授が水素燃料電池の電圧変動下の耐久性試験結果について紹介。ITRIグリーンエネルギー・環境研究所の張文昇組長は、2022年3月に発表された2050ネットゼロ排出ロードマップ(2022年5月19日付地域・分析レポート参照)達成に向けた台湾の水素戦略について、台湾では2050年時点で電力に占める水素発電の割合を9〜12%に引き上げることを想定していると説明した。ただし、使用する水素のうち約70%の水素ガスは輸入になると見込まれており、安定供給や輸送手段の確保が重要と指摘した。質疑応答では、水素ガスの輸送手段等について活発な意見交換が行われた。

写真 ジャパンブース(日本台湾交流協会台北事務所提供)

ジャパンブース(日本台湾交流協会台北事務所提供)

写真 日台革新技術交流フォーラム(日本台湾交流協会台北事務所提供)

日台革新技術交流フォーラム(日本台湾交流協会台北事務所提供)

(江田真由美)

(台湾、日本)

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