中銀、4会合連続で利上げ、5.90%に

(インド)

ムンバイ発

2022年10月11日

インド準備銀行(RBI、中央銀行)は9月30日の金融政策決定会合(MPC)で、政策金利(レポレート)を0.5ポイント引き上げ、5.90%にすることを全会一致で決定した。今般の措置で4会合連続での利上げとなった(添付資料図参照)。

RBIのプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、世界経済についての評価は前回8月会合時の発表内容とほぼ同様だった(2022年8月12日記事参照)。長引くウクライナ情勢と世界各国の積極的な金融政策の影響によって景気が弱含みで推移しており、国内経済は世界的なインフレ傾向に加え、通貨インド・ルピー安、外貨準備の減少、金融安定化リスクなどの圧力にさらされ、外需の悪化も伴い、経済見通しはますます厳しいとしている。

消費者物価指数(CPI)は、穀物や野菜、豆類、香辛料、牛乳の価格に牽引され食品価格が上昇したため、7月は6.7%、8月は7.0%に上昇。コアCPI(食料と燃料を除くCPI)は、さまざまな品目やサービスでインフレ圧力があり、高止まりしたままとしている。ドル高ルピー安が続くことで輸入インフレが増幅され、原油価格の見通しが不透明な中、インフレ上昇リスクを懸念していて、2022年度(2022年4月~2023年3月)の第3四半期(10~12月)のCPI上昇率は6.5%、第4四半期(2023年1~3月)は5.8%、同年度は6.7%と、上限許容範囲6%を超えると予測している。

消費需要について、モンスーン期(6~9月)の降水量が平年を上回り、豊作への期待から農村部が回復していることに加え、都市部もヒンドゥー暦の正月前後(10~11月)の上昇局面でさらに回復することが予想されるとしている。また、製造業やサービス業、インフラ部門の企業が需要状況や販売見通しに楽観的な見方をしている。他方で、地政学的緊張や、世界的な金融引き締め、外需の減速といった逆風は輸出やGDP見通しに下振れリスクをもたらしているとしている。これらの要因を考慮し、RBIは2022年度第3四半期と第4四半期の実質GDP成長率をともに4.6%、同年度全体の実質GDP成長率は7.0%と予想している。

(松永宗徳)

(インド)

ビジネス短信 d362c0db5cd3c454