英政府、電子貿易書類を認める法案提出

(英国)

ロンドン発

2022年10月25日

英国政府は10月12日、電子貿易書類法案を議会に提出することを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。貿易の際に必要な書類につき、電子媒体を法的に認めることで事務手続きに係るコストの削減し貿易をしやすくする。

現在、船荷証券や為替手形などの貿易書類は、法律によって紙媒体でなければならないとされている。本法案ではこうした書類につき、電子媒体についても法的に認めることで、貿易を行う企業に対しより多くの選択肢と柔軟性を与えるとしている。

法案において、電子媒体を認めるとしている主な貿易書類は以下のとおり。

  • 為替手形
  • 約束手形
  • 船荷証券
  • 荷渡指示書
  • 倉庫証券
  • メーツ・レシート
  • 海上保険証券
  • 貨物保険証明書

電子媒体を認める条件として、文書を排他的に管理できる主体を1つ(1人、または共同で行動する当事者)とすること、文書が移転された場合に、以前の保有者は当該文書の管理をできないようにすることなどが規定される予定だ。

英国政府は貿易書類の電子化を認めることで、今後10年間で英国企業の貿易額が11億4,000万ポンド(約1,926億6,000万円、1ポンド=約169円)増加すると試算している。また、政府は世界経済フォーラムの調査を引用し、貿易文書の電子化が炭素排出削減に貢献するとの見方も示した。また、ブロックチェーンや分散型台帳などの技術を活用することで追跡を容易にし、安全性、コンプライアンスを高めることができるとしている。

(山田恭之)

(英国)

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