米ウィスク・エアロ、自動飛行可能な「空飛ぶタクシー」を発表

(米国)

サンフランシスコ発

2022年10月07日

米国のエア・モビリティー企業のウィスク・エアロ(本社:カリフォルニア州マウンテンビュー)は10月3日、同社の第6世代モデルで自動飛行が可能な4人乗り電動垂直離着陸機(eVTOL)を発表した。

同社の第6世代eVTOLの飛行速度は120ノット(時速約222キロ)、航続距離は予備電源込みで90マイル(約144キロ)。自動飛行技術は、現在、民間航空便の9割以上で使用されているオートパイロット機能と同様で、全ての飛行を監視でき、必要があれば操縦を引き継ぐことが可能だという。機内は4人分の席のほか、手荷物を搭載できる十分なスペースがある。価格設定は、乗客当たり1マイル(約1.6キロ)ごとに3ドルを目標としている。同社は、具体的な時期を明らかにしていないが、eVTOLによる旅客サービス「空飛ぶタクシー」の商業化を目指している。

また発表によると、第6世代eVTOLは、旅客用自動飛行eVTOLとして連邦航空局(FAA)から初めて型式証明を受ける候補となっている。米国で航空事業を行うためには、3つの許認可を取得する必要があり、型式証明はその1つ。具体的には、使用する航空機がFAAの設計・安全基準を満たしていることを証明する必要がある。残りの2つは、製造認証と航空輸送業者許可となる(テッククランチ10月3日)。一方、ウィスク・エアロの競合eVTOLメーカー、ジョビー・アビエーション(本社:カリフォルニア州サンタクルズ)は2022年5月に航空輸送業者許可を取得しており、2024年初頭をめどに「空飛ぶタクシー」の商業化を目指すという目標に近づきつつある。ジョビーは、2022年2月にANAホールディングスやトヨタとの事業提携を発表している(2022年2月21日記事参照)。

ウィスク・エアロは、航空機製造大手のボーイングと宇宙航空スタートアップのキティ・ホークのジョイントベンチャーとして2019年に設立された。なお、グーグル共同創業者のラリー・ペイジ氏も出資していたキティ・ホークは、2022年9月に事業の閉鎖を発表している。

(田中三保子)

(米国)

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