ジェトロ、東莞市政府との意見交換会開催、香港との越境輸送正常化の見通しなどに関心

(中国、日本)

広州発

2022年10月13日

ジェトロは928日、現地進出日系企業のビジネス環境改善を目的に、在広州日本総領事館と、東莞東部日本人会、東莞日系企業連絡会、東莞石龍日本人会との共催で、東莞市政府との意見交換会を開催した。

今回の意見交換会では、外国人工作(就労)許可証の更新での年齢制限の緩和や、香港との越境輸送における防疫措置の終了時期の見通しなど、全8項目の要望や質問が日系企業から寄せられ、東莞市政府の各関連部門と意見交換を行った。

うち、外国人工作(就労)許可証の更新に関しては、B類(専門人材)の許可証取得者が更新時に60歳を超えた場合に更新が認められないケースがあることから、年齢による制限緩和について求める声が上がった(注1)。また、60歳を超えた場合でも、特に総経理職などの経営者層について許可証を更新できるよう配慮してほしいとの要望も寄せられた。これらに対し、東莞市科学技術局の鐘靖平副局長は「東莞市では、20221月からB類の工作許可証について年齢制限の緩和基準(注2)を明確化し、同基準を満たす場合は70歳まで更新を可能とする方針を打ち出した」と説明。また、経営人材を対象とした許可制度の緩和措置について「現在は設けていないが、日系企業の要望に基づき、上級部門の広東省科学技術庁と相談する」と回答した。

香港との越境トラックによる輸送に対する防疫強化措置の終了時期の見通しについても関心が寄せられた。香港~広東省を結ぶ越境輸送トラックは、越境輸送の連結点でいったん貨物を下ろし、越境後の輸送はトラックに再度積み込んだ上で、運転手も交代するという措置が取られており、企業の貨物輸送コストの増加要因となっている。東莞市陸空港専門チームの謝裕球副組長は「新型コロナウイルス感染状況の変化に応じ、中央や省政府の指示に従ってタイムリーに措置を調整するが、当面は継続予定」と述べた。そのほか、東莞市商務局などは、陸路や水路によって香港への越境輸送を行う東莞市企業を対象とした3つの支援策を紹介。うち、陸路による越境輸送については、越境運輸車両で東莞市の総合ターミナルなどに接続して輸出入を行う東莞企業を対象として、車両1台について1回当たり2,000元(約4万円、1元=約20円)、1社当たり最大200万元の補助金を支給するという。

ジェトロと東莞市商務局は今後、日系企業に対し、同市が展開する各種政策に対する理解と一層の活用を促すため、定期的に在東莞市日系企業向けにセミナーを開催し、政策情報の提供を行うことに合意した。

(注1)中国全土で2017年から導入されている外国人の就労許可制度でB類(専門人材)の認定基準は、原則60歳以下を対象として「学士以上の学位と2年以上の関係する業務経験のある外国専門人材のうち、業種などの一定条件を満たす」などが設定されている。他方で同制度では、一定の基準を満たす場合には、年齢、学歴、業務経験などの条件を緩和することも可能としている(201752日記事参照)。

(注2)下記3つの条件のいずれかを満たすこと。

(ア)中国で通用する国外の職業資格証書を持つ人材。各証書の詳細については国家職業資格工作網の「国外職業資格証書管理プラットフォーム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」で確認可能。

(イ)東莞市が緊急に必要とする技能型人材。認定を経た国外技能証書の取得と、関連する業界の政府主管部門の推薦を経た上で、工作許可証の申請を受理する。

(ウ)その他の国際的に通用する職業技能証書を有する人材。当該職業技能証書の専門レベルや、当該人材の就労に関する緊急度、職務経験について雇用主が説明する書類を提出した上で、工作許可証の申請を受理する。

(汪涵芷)

(中国、日本)

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