米中間選挙目前、経済への関心が高まり共和党優位の流れ、世論調査

(米国)

米州課

2022年10月27日

米国の中間選挙を11月8日に控え、経済に対する有権者の関心が高まり、連邦下院議員選で共和党候補の優位性が高まっていることが各種世論調査からわかった。

調査会社デモクラシー・コープスは10月26日、中間選挙などに関する世論調査結果(注1)を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。それによると、民主党か共和党のどちらの候補に投票するかという問いに、同社の基準による投票予定者の間では、共和党候補が50%と、民主党候補の48%を上回った。民主党の支持基盤とみられる黒人(9月:84%、10月:81%)、ヒスパニック(9月:62%、10月:58%)などの民主党支持が下がった。

ボストンのエマーソン大学が10月に実施した中間選挙などに関する世論調査外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注2)では、連邦議会選挙を想定した設問で、共和党候補が46%と民主党候補(41%)を5ポイント上回った。7月の調査時は同率の45%だったが、共和党候補の支持率が1ポイント上昇し、民主党候補は4ポイント下降した。

中間選挙の投票で最重要とする項目としては、経済(雇用、インフレ、税制)が44%と1位で、9月の同大学調査(39%)と比較して5ポイント上昇した。世論調査担当のスペンサー・キンボール事務局長は「地域別では、中西部と南部で共和党候補は12ポイントリードし、西部では民主党候補が10ポイントリード、北東部では民主党がわずか1ポイントリードしている」と語った。

選挙情報サイトのファイブ・サーティエイトも、全体の流れが共和党に傾いたことを指摘しており、民主党が連邦上院の多数派になる可能性が100分の66(10月13日付)から100分の55(10月24日付)に低下し、共和党が連邦下院の多数派となる可能性が100分の69(10月13日付)から100分の80(10月24日付)に高まったとしている。

選挙情報サイトの270トゥ・ウィンの予想(注3)では、連邦下院選挙の獲得議席数の見通しは、民主党206、共和党218、接戦11となっている(10月25日付)。連邦上院選挙では、民主党49、共和党49、接戦2(10月19日付)。

9月の米国の消費者物価指数は依然として前年同月比8%を超えており(2022年10月14日記事参照)、中間選挙に向けてバイデン政権が経済状況の改善を示すことは難しいとみられる。一方、ジョー・バイデン大統領は首都ワシントンでの10月18日の演説で、中間選挙で民主党が連邦上下院の議席を伸ばせば、人工中絶を認める法案を審議会で提出する最初の法案にすると明言し(2022年10月20日記事参照)、議席獲得への意欲を示している。

(注1)実施時期は10月19~23日、対象者は全米の登録有権者2,520人。

(注2)実施時期は10月18~19日、対象者は全米の登録有権者1,000人。

(注3)サバトズ・クリスタル・ボール、クック・ポリティカル・レポート、インサイド・エレクション、スプリット・チケット、ファイブ・サーティエイト各社の総合判定に基づく。

(松岡智恵子)

(米国)

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