9月の米消費者物価、前年同月比8.2%上昇で伸び鈍化も、コア指数は6.6%で伸び加速

(米国)

ニューヨーク発

2022年10月14日

米国労働省が10月13日に発表した9月の消費者物価指数(CPI)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は、前年同月比8.2%上昇となり、前月の8.3%上昇からわずかに減速しものの、民間予想の8.1%上昇を上回った。一方、変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数は6.6%上昇し、前月の6.3%上昇から伸びがさらに加速した。民間予想は6.6%上昇で同じだった。前月比では、CPIは0.4%上昇、コア指数は0.6%上昇で、前月はそれぞれ0.1%上昇、0.6%上昇だった(添付資料「表 消費者物価指数の伸び率詳細」、「図 米消費者物価の推移(前年同月比)」参照)。

品目別に前年同月比でみると、ガソリンは18.2%上昇(前月25.6%上昇)と伸びが鈍化、前月比でも4.9%減と低下したが前月の10.6%減からは減少幅が鈍化している。食料品は11.2%上昇(前月:11.4%上昇)と若干伸びが鈍化、特に伸びが高い家庭用食品も13.0%上昇(13.5%上昇)と伸びが鈍化した。財は6.6%上昇(7.1%上昇)と伸びが鈍化した。うち中古車は7.2%上昇(7.8%上昇)、前月比では1.1%減と3カ月連続で伸び率がマイナスになった。新車は9.4%上昇するも5カ月連続で鈍化し、前月比でも0.7%上昇(0.8%上昇)と伸びが鈍化した。一方で、サービスは6.7%上昇(6.1%上昇)と伸びが加速、特に物価全体の約3割のウエートを占める住居費が6.6%(6.2%上昇)と引き続き伸びが加速している。そのほか、医療や輸送サービスも大きな伸びを見せた。

3カ月連続で伸び率が鈍化した9月のCPIは、食料品、エネルギー、財価格が鈍化をみせる中、サービスは伸びがさらに加速しており、特に住居費の伸びがいつ鈍化するかに焦点が移ってきている。30年固定の住宅ローン金利は10月13日時点で6.92%と約20年ぶりとなる7%に迫る水準にまで急上昇しており、住宅市場は急激に冷え込んできているが、賃料などは住宅価格の上昇にタイムラグを伴って連動することから、住居費への波及にまでは至っていないのが現状だ。加えて、落ち着きをみせていた全米のレギュラーガソリン平均価格も10月13日時点で1ガロン(約3.8リットル)当たり3.9ドルと1カ月前の3.7ドルから上昇している。10月5日には、OPEC加盟国と非加盟産油国で構成されるOPECプラスが11月から原油を日量200万バレル減産することで合意しており(2022年10月6日記事参照)、今後、暖房需要が高まる冬季を迎えるにつれてエネルギー価格が再び上昇してくる可能性も懸念される。

今回の結果を受け、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が政策金利先物取引価格を基に算出する予測では、11月1、2日に開催される連邦準備制度理事会(FRB)の連邦公開市場委員会(FOMC)において、4会合連続となる0.75ポイントの政策金利引き上げが行われるとの観測がほぼ100%にまで高まっている。

(宮野慶太)

(米国)

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