公定レートを切り下げへ、実勢レートとは依然乖離
(レバノン)
カイロ発
2022年10月03日
レバノンの国営通信(NNA:National News Agency)によると、レバノン財務省は9月28日、公定レートを1ドル=1万5,000レバノン・ポンドに変更すると発表した。変更後のレートは11月1日から適用し、現行の公定レート1,507レバノン・ポンドから大幅な切り下げとなる。
今回の通貨切り下げは経済危機への対応の一環とされているが、現地報道によると、実勢レートは1ドル=約3万8,000レバノン・ポンドで、公定レートの切り下げ後も実勢レートと公定レートの乖離は依然として大きく、実効性について疑問視されている。
レバノン・ポンド紙幣(ジェトロ撮影)
レバノンは2020年3月に債務不履行に陥った(2020年3月18日記事参照)。その後も経済危機に拍車がかかっており、世界銀行によると、実質GDP成長率は2020年のマイナス21.4%に続き、2021年はマイナス10.5%と推定、2022年はマイナス6.5%と予測されている。さらに、2022年8月のCPI(消費者物価指数)上昇率が前年同月比2.6倍となるなど、深刻なインフレにも陥っている。燃料不足から計画停電も常態化するなど、国民生活は厳しさを増している。
(塩川裕子)
(レバノン)
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