2023年からの包装材への鉱物油使用禁止、一次包装以外も対象

(フランス、EU)

パリ発

2022年10月26日

フランスでは、鉱物油を含有するインキの包装材や印刷物への使用を禁止する規定が制定された20225月26記事参照)。鉱物油がこれらのリサイクルを阻害する物質を含むためだ。同規制について、ジェトロに寄せられる質問と回答をまとめた。

Q:禁止開始時期は。

A:対象ごとに2段階に分かれる。

202311日以降:「包装材」「商業用宣伝のための未承諾広告チラシ(ダイレクトメール)およびカタログ」

202511日以降:「一般向け印刷」

Q:禁止対象は一般消費者向けの包装材や印刷物に限られるか。

A:印刷物の禁止対象はBtoCの「商業用宣伝のための未承諾広告チラシおよびカタログ」と「一般消費者向け印刷」に限定される(循環経済法第112条第2外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)が、「包装材」はBtoCおよびBtoBが禁止対象となる。

環境法典R543-43外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます1項は、包装材を「素材の性質を問わず、商品を含んで保護し、生産者から消費者・ユーザーへの取り扱いや輸送を可能にする物品」と定義。

さらに同条第2項は、包装材は、以下のみにより構成されると規定。

・エンドユーザーまたは消費者向け商品を直接包装する一次包装

・個別の一次包装をさらにまとめる、集合包装または二次包装。消費者などに直接販売されるか否かは不問

・輸送用包装または三次包装。ただし輸送用コンテナは含まれない

Q:製品ラベルは対象となるか。

A:包装の一部と見なされた場合は対象となる。環境法典R543-43外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます3項は、「包装材と、包装に統合された補助的な要素は、統合された包装の一部とみなされる」と定める。

また、ジェトロが6月に電気・電子機器の輸出入企業の業界団体FICIME外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに、鉱物油の使用禁止を定める循環経済法第112条の対象範囲を確認したところ、以下のとおり。

・対象:一般消費者向けのユーザーマニュアルやCEマーク適合証、製品やロゴに貼られたラベル

・対象外:製品自体に印字されたロゴ・モデル

Q:日本企業がフランスへ出荷後、荷姿のままフランス以外の欧州の国へ出荷される場合、対象となるか。

A:ジェトロが718日にエコロジー移行省に照会したところ、「廃棄物のリサイクルに関する規制であるため、フランス市場に投入されずにフランスを経由し他のEUの国に輸出される場合、対象外となり得る」旨の回答を得た。

Q:同様のEU規制があるか。

A:現時点ではない。欧州委員会は2017年1月16付勧告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにおいて、加盟国に対し、食品と食品接触材料(包装材)への鉱物油の使用に関するモニタリングの実施と、欧州食品安全機関(EFSA)へのデータ報告を要請。同勧告に法的拘束力はなく、実施は各加盟国に委ねられている。欧州委の共同研究センター(JRC)は20194月に、同勧告に基づく、具体的なモニタリング方法に関するガイダンスを公表している。

(奥山直子、上田暁子、土屋朋美)

(フランス、EU)

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