米ガス大手エアープロダクツ、NY州に5億ドル規模のグリーン水素製造施設建造へ

(米国、アイルランド)

ヒューストン発

2022年10月11日

米国のガス大手エアープロダクツ・アンド・ケミカルズ(本社:ペンシルベニア州アレンタウン)は10月6日、ニューヨーク州マシーナに5億ドル規模のグリーン水素(注)製造施設を建造すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

エアープロダクツは、この施設の建造と所有、運営を行い、本施設で日量35トンの液体グリーン水素を製造し、同水素の移送や供給事業も実施する。本施設は、2026年から2027年に稼働の予定だ。同施設で製造される液体グリーン水素は、ニューヨーク州のモビリティー市場や、米国北東部の潜在的な産業市場に販売される予定だ。発表によると、全ての液体グリーン水素が大型トラック市場で使用された場合には、600万トン以上の二酸化炭素(CO2)の排出削減が可能となる。これは、6億ガロン(約23億リットル)以上のディーゼル燃料を大型トラックで用いた場合の排出量に相当するという。また、同社は米国北東部における水素ステーション網の構築の可能性を調べており、同社のトラックへの供給能力も調査している。同社は、全世界の約2,000台のトラックを水素燃料電池車に転換する計画も併せて発表した。

米国におけるグリーン水素に関する最近の取り組みとしては、8月の、米国の液化天然ガス(LNG)生産企業ニュー・フォートレス・エナジーとプラグパワーによるテキサス州での北米最大級のグリーン水素製造施設の建設計画発表(2022年8月12日記事参照)、米国アマゾンとプラグパワーによる2025年から年間約1万トンのグリーン水素の供給契約の締結発表(2022年8月29日記事参照)などがある。さらに9月には、アイルランドのリンデが米国でグリーン水素の生産拡大を発表している(2022年9月14日記事参照)。

(注)水素はその製造方法によって、(1)化石燃料を燃焼させたガスを改質することで製造する「グレー水素」、(2)グレー水素製造工程で排出された二酸化炭素(CO2)を回収し貯留または利用(CCS、CCUS)することでCO2排出を抑える「ブルー水素」、(3)再生可能エネルギーを利用して水を電気分解することで製造し、製造工程でCO2を発生させない「グリーン水素」などに分かれる。

(沖本憲司)

(米国、アイルランド)

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