米アマゾンとプラグパワー、2025年から年間約1万トンのグリーン水素供給契約締結

(米国)

ヒューストン発

2022年08月29日

米国の電子商取引最大手アマゾン(本社:ワシントン州シアトル)は825日、米国燃料電池システム開発プラグパワー(本社:ニューヨーク州レーサム)と、2025年からアマゾンの輸送および施設業務用に年間1万950トンのグリーン水素(注)を供給する契約を締結したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。プラグパワーは、自社の電解槽、液化機能、極低温タンカーを使用して202511日からアマゾンに水素を供給する。

アマゾンは、温室効果ガス(GHG)の2040年までのネットゼロ達成に向け、グレー水素(注)、ディーゼルおよびその他化石燃料の代替として、グリーン水素の利用を開始するとしている。本契約により、アマゾンの気候変動対策へのコミットメントだけでなく、業界に対して水素利用拡大の必要性を示すことができるとしており、フォークリフト3万台または長距離輸送用大型トラック800台分に相当する年間電力が賄われるという。

アマゾンのグローバルエンジニアリングおよびセキュリティサービス担当バイスプレジデントであるディーン・フラートン氏は「当社は既に70以上の自社施設で水素貯蔵・供給システムを導入しており、化石燃料の代替としてグリーン水素の利用を開始できる。現在、われわれは、この(プラグパワーの)システムを使って15,000台以上の燃料電池フォークリフトを稼働させている。2025年までに100の自社施設で2万台の燃料電池フォークリフトを稼働する計画だ」と述べている。プラグパワーは2016年以来、アマゾンの配送センター70カ所以上において、フォークリフト用に15,000個以上の燃料電池を供給してきた実績を持つ。

プラグパワーは同社プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、今回のアマゾンとの取引は、大幅な成長の機会となり、2025年に30億ドルという収益目標の達成に役立つことが期待されるとしている。同社のアンディ・マーシュ最高経営責任者(CEO)は「アマゾンのような顧客とグリーン水素供給契約を結ぶことは、グリーン水素への当社の複数年にわたる投資と戦略的拡大の実績を裏付けるものだ。アマゾンの建物に電力を供給できる燃料電池電気トラックや燃料電池発電所の活用など他の水素アプリケーションの使用、フルフィルメントセンターでの電解槽の設置などを通じて、アマゾンとの関係を拡大できることをうれしく思う」と述べている。

プラグパワーは、アマゾンやその他の顧客からのグリーン水素の需要増加に対応するため、2022年末までに日量70トン、2025年までに北米で日量500トン、2028年までに全世界で日量1,000トンのグリーン水素の製造を目指しており、202284日には、米国のニュー・フォートレス・エナジーと、テキサス州に120メガワット(MW)の商用規模のグリーン水素製造施設を建設する契約を締結したと発表している(2022年8月12日記事参照)。

(注)水素はその製造方法によって(1)化石燃料を燃焼させたガスを改質することで製造する「グレー水素」、(2)グレー水素製造工程で排出された二酸化炭素(CO2)を回収し貯留または利用(CCSCCUS)することでCO2排出を抑える「ブルー水素」、(3)再生可能エネルギーを利用して水を電気分解することで製造し、製造工程でCO2を発生させない「グリーン水素」などに分かれる。

(沖本憲司)

(米国)

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