米NFEとプラグパワー、テキサス州に北米最大級のグリーン水素製造施設の建設計画を発表
(米国)
ヒューストン発
2022年08月12日
米国の液化天然ガス(LNG)生産企業ニュー・フォートレス・エナジー(ニューヨーク州ニューヨーク、以下NFE)は8月4日、米国燃料電池システム開発プラグパワー(本社:ニューヨーク州レーサム)と、テキサス州に120メガワット(MW)の商用規模のグリーン水素(注1)製造施設を建設する契約を締結したと発表した。
同施設はグリーン水素製造施設としては北米最大級となる見込みで、プラグパワーによる水電解装置(注2)を活用することで、日量50トン以上のグリーン水素の製造が可能だ。さらに、施設のインフラ拡張に応じて、120MWから500MW近くまでの拡張が可能だとしている。
同施設は、テキサス州メキシコ湾岸のジェファーソン郡ボーモント市近郊での建設が予定される。プラグパワーは、ボーモント港とその周辺地域について、脱硫や原料処理に水素を利用する精製・石油化学事業者の大規模産業施設が集積しているほか、供給信頼性の高い電力や、メキシコ湾岸に広がる鉄道、海運、既存のパイプラインなどの優れた物流へのアクセスが可能だと、その地理的優位性を指摘している。
NFEのウェス・イーデンズ会長兼最高経営責任者(CEO)は「水素に関する米国の政策環境が良好になる中、われわれは脱炭素化に向け確かなインパクトを与え得るスケーラブルなソリューションに注力しており、急速に発展する水素市場で先行的な立場にあると確信している」と述べている。
プラグパワーのアンディ・マーシュCEOは「本施設は、われわれが米国の他の場所で再現することを意図したモデル施設だ」と述べており、今後、米国でさらなる商用規模のグリーン水素製造施設の建設を視野に入れている。
(注1)水素はその製造方法によって(1)化石燃料を燃焼させたガスを改質することで製造する「グレー水素」、(2)グレー水素製造工程で排出された二酸化炭素(CO2)を回収し貯留または利用(CCS、CCUS)することでCO2排出を抑える「ブルー水素」、(3)再生可能エネルギーを利用して水を電気分解することで製造し、製造工程でCO2を発生させない「グリーン水素」などに分かれる。
(注2)固体高分子電解質(Polymer Electrolyte Membrane:PEM)を用いて水を電気分解することにより、グリーン水素を製造する技術。
(沖本憲司)
(米国)
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